“ほっこりして見えやすい”まろやかワントーンを洗練させて見せるには?
前回の記事には、まろやかな色味でつくる着こなしは“ほっこり”しやすくて難しいと教えてもらいました。とはいえ、やっぱり素敵な配色は身につけたいもの。では、どのような工夫をすれば、ほっこりみえないのか、そのテクニックを聞きました。
まろやかな色でも、使い方しだいで“脱ほっこり”
「前回の記事で、ほっこり見えにくい配色を紹介しました。黒を活用して、キレのよさと辛口感を足すだけで、ほっこりとおばさんっぽい雰囲気を払拭できるという話でした。ですが、なかにはそもそも黒が苦手だったり、上品な色使いですっきり見せたいという方もいらっしゃると思います。今回は、ベージュ系の淡い色を使ったワントーンの着こなしテクニックを紹介したいと思います」
素材の表情や小物のツヤを活用して
「キャメルベージュ×カーキの服をただ合わせただけでは、色味がのっぺり&ぼんやり、そしてほっこりして見えてしまいます。ですので、まずのっぺり感を払拭するために、スカートをコーデュロイ素材に。そして、フリンジ付きのストールでも、立体感を加えます。このように素材感を活用することで、コーディネートに奥行きをつくることが大事なんです。これは、お仕事服でベージュのスーツを着るときも同じ考え方でOK。スーツは凹凸のない生地であることが多いですよね。そこに薄手のプレーンな生地のインナーを着るよりは、たとえばリブタートルなど、素材感に変化があるもののほうが、奥行きをつくってくれます。さて、話を戻しましょう。このコーディネートがほっこり見えないようにするために、チェーンバッグの投入も大きな役割を果たしています。バッグのチェーン金具のツヤ感が曖昧な印象になりがちな色味にキレのよさを加えてくれています。もちろん、黒のような強い色の小物を加えることで、全体を引き締めて見せるというテクニックもあると思いますが、まろやかなニュアンスカラーコーディネートのよさを生かしながら引き締めるには、チェーンがよい仕事をしてくれますよ」
「ほっこりとは直接関係ないかもしれませんが、今回のキャメル系のワントーンは黄味があるので、チェーンの色はゴールドカラーがおすすめです。コーディネート全体に統一感が生まれ、おしゃれな雰囲気に仕上げてくれると思います。シルバーチェンでは、コーディネートとなじまず、チグハグに見えてしまいます」
一方…ダークカラーのワントーンを今年っぽく着こなすには?
「淡いまろやかな色のワントーンより、濃い色のワントーンのほうが断然“ほっこり”見えにくいです。ですが、色味がダークな分、重くのっぺりと見えやすいといえます。フルレングスのパンツに、首元まで覆うタートルネックニットを着ると、全体が詰まった印象に見えてしまいます。なので、今季旬の深いVネックのトップスを合わせれば、胸元に抜け感が生まれ、手っ取り早くキレのよさをつくることができますよ。また、今回のような黒のワントーンのときは、小物の色合わせにも注意です。洋服の色味がシンプルな分、合わせる小物の色によっては、古くさく見えてしまうのです。以前は、黒ワントーンに、ツヤのある素材のバッグや靴を合わせるのが定番でしたが、今ならブラウンがおすすめ。今年っぽく見えるので、試してみてください!」
「ダークなワントーンの着こなしの場合、明るすぎるなど、洋服の色からかけ離れすぎた色の小物を合わせないほうが、あか抜けて見えますよ」
第5回は、9月24日(月)公開予定です。
第1回「スタイリスト川上さやかさんが、ほっこり見せないためにやっている5つの工夫」はこちら>>
第2回「今季のトレンド、ビッグシルエットをほっこりさせずに着るには?」はこちら>>
第3回「配色を変えるだけで“脱ほっこり”できるんです」はこちら>>
第5回「“脱ほっこり”に有効なアニマル素材&柄の正しい取り入れ方」はこちら>>
第6回「大人の着こなしに盛りすぎは“ほっこり”を招く…やってしまいがちなNG例4」はこちら>>
撮影/須藤敬一(人物)、武藤 誠(静物)
スタイリスト/川上さやか
ヘア&メイク/川嵜 瞳(PEACE MONKEY)
構成/高橋香奈子
PROFILE 川上 さやかさん
スタイリスト。大手金融会社のOLからスタイリストに転身した異色の経歴の持ち主。シンプル&ベーシックな中にも上品な女らしさが光る、リアルな通勤コーディネートが人気。身長154㎝。instagram:@sk_120