急な動悸、大丈夫? 注意したい危険な症状と原因
更年期にも見られる動悸。
一日に何度も起こる場合は病院へ
急な動悸は「心臓の病気かも?」と不安になりますが、動悸や不整脈には、治療の必要がないものもあります。
「運動や緊張、興奮でドキドキするのは、生理的なもの。また、日常生活の中でときどき脈が飛ぶ、一瞬だけの動悸は不整脈と考えられ、誰にでも起こり得る症状です。不整脈は加齢とともに増えますが、ストレスや睡眠不足が誘因のことも。ときどき起こる程度なら、あまり心配はいりません」と総合内科医の岡崎史子さん。
意識が遠のいたり、脈が速くなり何分も継続するような場合は、できるだけ早く循環器内科へ。動悸は貧血や甲状腺の病気、更年期でもみられます。
「病気が潜んでいないかしっかりチェックしておきましょう」
危険な動悸って?こんな症状は要注意
「意識が遠のく、失神がみられる、動悸が休みなく続く場合は、危険な動悸と判断します。また、睡眠中、横になると息苦しくなり、起きると楽になる症状は心不全の疑いがあります。どの場合も速やかに受診を」(岡崎さん)
こんな病気でも「動悸」が起こります
<鉄欠乏性貧血>
月経の出血により、鉄分が不足する女性に多い疾患。血液中の酸素を運ぶヘモグロビンの量が減少し、酸素不足になることから起こります。病気による出血から貧血が起こる場合もあります。
症状:
□疲れやすい
□眠気
□動悸・息切れ
□顔面蒼白
□頭痛・肩こり
□むくみ
□イライラ
□爪がもろくなる など
<甲状腺機能亢進症(バセドウ病)>
甲状腺ホルモンが、過剰に分泌されてしまう自己免疫疾患。常に激しい運動をしているような状態になり、以下のような症状がみられます。
女性に多く、発症しやすい年齢は20代~50代。
症状:
□月経不順(量が減少)
□痩せてくる
□疲れやすい
□ドキドキする・脈が速くなる
□汗を異常にかく
□疲れやすい
□微熱
□筋力が落ちる
□イライラ など
<更年期症状>
運動してないのに動悸や息切れがする……。
じっとしていても起こるのは更年期症状の可能性も。単なる更年期と受け流さず、心臓病や高血圧などの検査は必要。更年期外来や婦人科で相談を。
不整脈のおおまかな診断と対処
生命に悪影響のない不整脈(不整脈の9割はこのタイプ)
→積極的な治療を要しない
ほかの病気が原因で出ている不整脈(貧血、甲状腺機能異常など)
→隠れている病気の治療を行う
治療を要する不整脈(意識が遠のく、失神発作などがある場合)
→不整脈自体の治療を行う
※症状や治療法には個人差があります。詳しくは専門医に相談してください
出典:「不整脈の不安と疑問に答えます」(山下武志著)を一部改変
どの科で診てもらうべきかわからないときに、症状から原因をつきとめ、専門医につなぐ窓口となってくれるのが「総合診療科」。内科系の病気の場合は、診察・治療を行うこともあります。
岡崎 史子さん
〈東京慈恵会医科大学病院 総合診療部 講師〉
総合診療医を目指して、外科、脳神経外科、整形外科で研鑽を積んだあと内科医となり、現在は総合内科専門医、循環器専門医として診療中。 医学生のコミュニケーション教育も行っている。わかりやすい説明には定評があり、モットーは「患者さんを笑顔で帰す」。
『50歳からの初診外来BOOK』のほか、健康、美容、料理など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。
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