スイッチを切った携帯電話が、音なく私をふりかえさせたのは翌日の朝。(脳裏を過る)友人の声とともに、主をなくすウエディングドレスを想った。
花嫁を失くす新郎よりも。
美しいドレスを着るという緊張感は花嫁になると覚悟を決め、どんなに多忙なときにも、夜は8時までには食事を済ませドレスに恥じない身体を仕上げその日を想った。
ウエディングドレスは花嫁を立ち返らせるために美しい必要があるのかも。
すごい力がある、そう、美しいものに宿る力。
時は富士屋ホテル、ドレスを着て扉が開いた瞬間、赤い絨毯の上、私はドレスとふたりきりになった。親族、友人たち、神父さんに、新郎、父、フラワーバスケットを持った姪っ子すべてが消えた、一瞬のことかもしれない、どれくらいの時だったかは思い出せないけれど、ドレスに身を包んだ私のからだにふわっと何かが溢れた。
それは、いつまでも純白を躊躇って選んだ、滑らかな光沢が美しいサテンのパープルのハイヒールを履いた私を神聖な花嫁にした。
そして15センチものルブタンのヒールは、彼の支えがないと不安定だった。
その不安定さは私を淑やかにした。そう心までも。
お騒がせな私は、こう思った。大変な道のりだったけど、予想を超えた祝福のエネルギーに包まれ本当に良かった。良かったなんて一言では言えない!(曲、テーブルセッティング、花、両親の涙、義妹へ、)細かく思い出せることがたくさん溢れ出すけど、この辺で……
結婚8周年を迎えたゆみえさん。結婚によってもたらされた7つの変化は、次週(24日)にお届けします。
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