芸能奉納もさることながら、とても楽しみにしていたのが世乞い(ユークイ)への参加。集落の家々を訪問し、唄を歌い、踊りながら、家々の五穀豊穣、子孫繁栄をお祈りします。

  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img0 観光客も飛び込みで参加することができます。こちらは配られた歌詞本。
  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img1 星のや竹富島では、事前に簡単な唄のレッスンも。世乞いへの参加は、唄えたほうが断然楽しい!
  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img2 とはいえ、何が書かれているのか、意味はまったく分からなかったのも事実ですけれど(苦笑)。


夕方のレッスン後、庭の奉納が行われた広場へ。島民や観光客がどんどん集まってきます。

  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img3 ハチマキが上手に巻けず、お若い娘さんに急遽手伝っていただきました。
  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img4 そして、結果的には神司でもあるおばぁに巻いていただきました。
  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img5 結果、こんな感じで取材を敢行しました。


いよいよ集落へ向けて出発です。

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神司を先頭に、歌いながら1軒目のお宅へ。
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訪問先のご家族、ご親族とご対面の場面。

招き入れられ、訪問宅のお庭へなだれこみ、そのまま歌いながら庭をぐるぐると練り歩き続けます。ちなみに1軒目は全員で。2軒目以降は3つの集落ごとに向かう先が変わります。

  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img10 お庭で選ばれた方が胴上げされる儀式も。
  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img11 唄って、踊って。
  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img12 観光客も、お家にあがることができます。


お家にあがりこんだ後は、その家のピンダコ(ニンニクとタコの酢漬けのようなもの)が振る舞われます。各ご家庭ごとに味が違うので食べ比べも楽しい! 

  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img13 訪れた観光客にも振舞われます。
  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img14 島のニンニクは、匂いも味も野性味があり、強めです。
  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img15 小分けにされて、配られます。


ピンダコとともに、泡盛も振舞われます。その後、皆でまた世乞いの唄を! (お酒が弱いため)フワフワとした気分で、唄って、歩いて、踊って! ある意味、音楽フェスのようでもあり、盆踊りのようでもあり(笑)!?  

  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img16 島の子供たちも参加。入りきれない場合は外で。
  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img17 最後にお清めの塩もまわってきます。
  • 竹富島に600年続く「種子取祭」に思うこと_img18 唄は銅鑼のリズムに合わせて。


ここまでの流れを1セットとし、移動して、違うお宅にお邪魔し……それを夜通し繰り返します。島の方がオープンな気質だから成立するのだと思いますが、このような体験が観光客も島民同様にできるのは本当に貴重だな、と思います。

とにもかくにも島民と一体になれる濃密な体験をすることができました。お祭り自体は、船で10分の石垣島から日帰りも可能ですので、島の文化に触れたい方やお祭り好きな方、ぜひ来年お出かけください。島中のお店がほぼ休業しておりますが(「観光客がたくさん来島するのに!」と驚きつつ、本当に島民にとって大切な祭事なのだぁ、としみじみ)、個人的にはかなりおすすめ!

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仲筋集落の最後にお邪魔したお宅は、取材をさせていただいた前本さん宅。おじぃ、本当に凛々しく、格好いい!

普段、極度に商業化された都心の中で生活しているためでしょうか。古来から伝わるままの形で存続している種子取祭への参加である文章を思い出しました。言語学者のヘレナ・ノーバーグさんが『いよいよローカルの時代』という著書に書かれています。私がお祭り好きである理由の核心をついているなぁと思っている文章ですので、最後に紹介させてください。

地域に根付いた文化、とくに歌や踊りは、生き生きとしたつながりを育むことができる参加型のアートです。グローバル化した世界にいる人たちは、みんなで歌を歌うことの喜びや楽しさを完全に忘れているでしょ~中略~世代を超えたつながりができて、喜びがいっぱい発見されるのでしょうね。

今日のお品書き
南インドを訪れた写真家の在本さんは、世界中にファンを持つチェンナイにあるTara Books(タラブックス)という出版社を訪れました。シルクスクリーンで作られる魅惑の絵本づくりの現場、私もいつか訪れてみたいなぁ。いつもながらに、息遣いまでもを感じる写真にウットリです。 

 
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