前回、AI時代に人が「価値ある存在」になるためには、「希少性(レアさ)」を意識することが大切だという話を書きました。AI時代の「仕事」「働く」を考えたときに、人の価値は、必ずしも量やスピード、正確さとはなりません。なぜならAIのほうが、はるかに上回るスピードと効率性、作業量、ミスの少なさで人を圧倒してしまうからです。

そうなってくると、人ならではの価値、その人に仕事を依頼する意味は、その人なりの存在の「希少さ(レアさ)」にあるのではないでしょうか。

 

ではどうやって「希少さ(レアさ)」を確立させていけばいいのか・・・私自身が思う4つの方法をご紹介します。
 

1)「好き」にフォーカスしてレアになる
先日、人口知能の専門家の方の話を聞く機会があったのですが、AIには「モチベーション」がないそうです。指示やルールの範囲で最善のアウトプットを出すことに長けてはいるけれど、「こうしたい」という自ら湧き上がる動機があるわけではないんですね。そうであるなら、そのポイントは人とAIを分ける重要なポイントになるように思います。

キャリアを棚卸しして、「好きなこと」を今一度、認識してみてはどうでしょう? 例えば、私の場合、「キャリアおたく(!)」で、とにかくキャリアの話が大好き。働き方やワークスタイルや、その関連の本や記事を読んだり、関連サービスの情報を集めたり、人のキャリアの話を聞いたりするのが大大大好きなんです。これって自分の今後のキャリアを考えるうえでも軸になっていくなぁと感じますし、この「好き」を深めてとことん追求することで「レア度」にもつながっていくと考えています。
 

2)「掛け合わせ」でレアになる
「好き」に加えて意識したいのが「掛け合わせ」。これまで数多くの方のキャリアを見させていただいていますが、たくさんの軸を掛け合わせれば掛け合わせるほど人はユニークな存在になっていきます。

例えば、人事職種の方ってたくさんいるわけです。ところが、人事でかつ、エンジニアの採用経験が豊富となると「レア度」が上がります。加えて「ソーシャルメディアが好きで詳しい」とか、「趣味で大学時代のサークルのOB会の幹事をしていて学生とコネクションがある」などの要素も掛け合わさっていくと、「その人ならでは」のキャリアに深みが出ていきます。

 


3)「複線型キャリア」を意識してレアになる
「掛け合わせ」を考えるときに、「仕事」だけではなく、「趣味」や「ボランティア活動」、「地域活動」、「子育て」などの「複線」でとらえることも忘れないでほしいポイントです。キャリア=仕事のことだと考えている方が意外に多いのですが、キャリア論の世界では仕事を中心とする人生全般を「キャリア」としてとらえます。ですから、キャリアに「レアさ」をスパイスのように加えていくためには、子どもや家族の存在、自分自身にとっての趣味や学びなどのプライベートの時間などもぜひ含めて考えていきたいものです。例えば2)の事例の人がプライベートでは1児のママで、40歳を過ぎて学びたくて就業後や週末の時間を活用して大学院で経営学の勉強もしていて・・・というと、だんだんその人ならではの人物像が浮かび上がってきますよね。その人のキャラクターだったり価値観だったりが伝わってきて、親しみや共感がわいてきます。
 

4)個人の「ストーリー」「生き様」でレアになる
1)~3)を加味し、学歴・職歴などのいわゆる「スペック」ではなく個人の「ストーリー」「生き様」が価値を持つ時代になっていきます。「〇〇さんにお願いしたい」「〇〇さんと一緒にプロジェクトをやりたい」・・・周囲からこのように求められる人こそが価値を持つのがAI時代の特徴ではないでしょうか。定型的な仕事はどんどん自動化されていきます。すでにその波はきています。人がやる意味、私ならではの価値について、私たちはもっともっと意識する必要が出てきます。みなさんはどんなふうに自分の存在に価値を付け加えていきますか?