今は『ハイマジック ウエットモップ』が床ふき用にいいと思って使っていますが、しばらくすると、他のメーカーがアイデアを凝らした新商品を発売しているかもしれません。また、友人の口コミやネットの情報も参考にしていて、『これいいよ!』と言われたらまず使ってみることにしてるんです」
そうして少しずつアップデートを繰り返し、松尾さんのライフスタイルや住まいの実情にあった掃除の方法を確立させていったそう。便利な道具を見つけて使うのは楽しいものなので、掃除に対する心理的なハードルもほんの少し下がり、汚れがひどくなる前に、少しの労力でそこそこきれいな状態を保てるようになったと松尾さん。
「いい道具を見つけたら、『これすごく便利だよ!』と周りの人に教えたくなるので、ブログなどで紹介しています。そこに『使ってみたけどいいですね!』とコメントがつくと、私までうれしくなってしまいます」
とはいえ、掃除の悩みや「もやもや」ポイントは人それぞれ。誰かが使って絶賛していても、松尾さんが使うとそこまでじゃないところもあれば、その逆もあるわけです。だからこそ、もし気になるものがあるなら、「実際に使ってみる」に限ると松尾さんは考えています。
「それが自分の求めているものだったらすごくうれしいし、そうじゃなければそのことがわかったことも気づきの一つ。私は自分に無理のない範囲内で、そこそこきれいな状態を保っておければいいけど、誰かにとってはもしかしたら物足りないことがあるかもしれません」
松尾さんはかつて、掃除や洗濯を外注していたことがあるといいます。家事が苦手だったのと、仕事があまりにも多忙で余裕がなかったからです。
「家事の外注化というと、お金に余裕のある人の話なので参考にならないと思われてしまうかもしれません。でも、じつは最近は気軽に利用できるような料金設定のサービスが増えています。日本では昔から『家事は自分でやるもの』という刷り込みが強いように感じられますが、共働きの人が増え、自分たちですべての家事をこなすことが難しくなってきた今、外注サービスの利用も肯定的に考えてもいいんじゃないでしょうか」
松尾さんは今の家に引っ越してきたのがきっかけで、自分で家事をするようになりましたが、外注によって助けられた時期があるため、今も「外注という選択肢はあり」と考えています。
週に1回来てもらって、家の隅々まできれいにしてもらうのもよし、数ヶ月に1回、キッチンまわりだけやってもらうのもよし。大掃除だってどうしても苦手なら、“自分へのご褒美”としてプロにお願いしてもいいのです。
家がきれいになり、少しでも「もやもや」が解消されるのであれば、どんな掃除道具を選んでもいいし、時には外注してもいいと気楽に考えてもいいのではないでしょうか。松尾さんも柔軟に考え、自分のできる範囲内で実践してきたことが、大掃除の必要性を感じない、今の快適な暮らしにつながっているのでしょう。
<著書紹介>
『部屋が片づかない、家事が回らない、人間関係がうまくいかない 暮らしの「もやもや」整理術』
松尾たいこ 著 1400円(税別) 扶桑社
人間関係、仕事、家事など、毎日の暮らしのなかで感じる「もやもや」した感情。これは嫌なことを我慢していたり、抱え込んで、暮らしが滞っているサイン。この「もやもや」という感情を見逃さず、ひとつずつ原因を解消していくことで、確実に生きるのがラクになります!
「八方美人にならなくていい」「仕事は全部自分でやろうとしない」「苦手な家事はハードルを下げる」など、アーティスト・イラストレーターの松尾たいこさんが、「もやもや」した感情を減らすためにたどり着いた、人づき合いのコツ、SNSとのつきあい方、家事の減らし方、ものの選び方、整え方を紹介。
これからの人生を心地よく生きるためのヒントが満載です。
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アーティスト/イラストレーター 松尾たいこ
広島県生まれ。短大卒業後、約10年の自動車メーカー勤務を経て、32歳だった1995年に上京。セツ・モードセミナーに入学し、98年よりフリーのイラストレーターに。 書籍の装画やCDジャケット、大手企業広告などに作品を提供。ファッションにも造形が広く、幅広い年齢層の女性に人気がある。夫はITジャーナリストの佐々木俊尚。近著に『35歳からわたしが輝くために捨てるもの』(かんき出版)、『クローゼットがはちきれそうなのに着る服がない! そんな私が、1年間洋服を買わないチャレンジをしてわかったこと』(扶桑社)など。