写真を見たとき
この人は何者!?と衝撃を受けました


風:そんな風に言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。私が大草さんを知ったのは、何かの雑誌に載っていたブランドのタイアップページを目にしたときでした。そこにはNYの街中でふわっとコートを翻し、美しく微笑んでいる大草さんが写っていて。ちょっとした衝撃を受けたことを覚えています。私もこの仕事柄よく写真を撮られるけれど、あくまでもモデルではない一般人だから、何とか素敵に写るようにといつも色々と工夫しているわけです(笑)。それをあのNYという街をバックに堂々とポーズをとっているなんて、この人は一体何者なんだろう!?って。


大:え~っ! いやだ、恥ずかしい(笑)。

風:それ以来、大草さんのことが気になって、周りの人に聞いてみたりいろんな媒体を見てみたりしたんですが、大草さんのことを知れば知るほどすごい方なんだということが分かりました。企画からライティング、編集まで、何でもこなせるスタイリスト!? そんな人が本当にいるの!? という感じで。しかも、ミモレの立ち上げのときから編集長を務められていたでしょう。本当に驚きました。でも、後になって大草さんがもともと編集者でいらしたと聞いて、ちょっとほっとしてしまったという(笑)。スタイリストには感性で生きるアーティストタイプが多いように思うんですが、大草さんは理論的な編集者タイプでもあるから、その両方を兼ね備えた感じがうらやましい。私もそうなりたいな。いろいろ学ばないと。

大:いやいや、ゆみえさんはそのままでいいと思います。私は仰る通りもともと編集者だから、なんでもゴールありきで物事を進めてしまうところがあって。でも、それだとつまらない女になっちゃうんですよ(笑)。私は逆に、ゴールが見えないまま進んでいきながら素晴らしい作品を作ってしまう、アーティストタイプのゆみえさんに憧れます。そんなお互いに正反対のタイプなのにも関わらず、いま同じ職業に就いているのが不思議ですよね。ゆみえさんはもともとスタイリストを志していらしたんですか?

風:いえ、本当は役者を目指していたんです。私は欲張りだから弁護士、薬剤師、コックさんetc.……、いろんな人の人生を体験してみたかったんですが、役者になればそれがすべて叶うだろうと、18歳くらいの時にひらめいて。でも活動をはじめて2年くらいしてから父親に、「いつまでそんなことをやっているんだ」と諭されて、あえなく挫折。それで渋谷のとあるセレクトショップでバイトをしていたら、そこで後に私の師匠となるViViのスタイリストをしていた女性に出会い、それがきっかけでこの世界に入ることになりました。当時、師匠の仕事があまりに忙しそうだったので、少しだけお手伝いをしようかなという軽い気持ちで始めたことでしたが、気付けばその10か月後にデビューしていました(笑)。

大:10か月でデビュー! 早いですね。