話しぶりはシャイで礼儀正しい。笑った顔はヤンチャであどけない。でも、ふっと前を見据えるまなざしは、大人の男の野性味と色気を帯びている。
そんなふうに短い取材時間の中でいろんな表情を見せてくれた俳優の高野洸さん。昨年大みそかに放送された『第69回NHK紅白歌合戦』にミュージカル『刀剣乱舞』の刀剣男士の一振り・膝丸(ひざまる)役として出演。歌手別視聴率で40.2%の高視聴率を記録するなど、大きな話題を呼びました。
高野 洸(たかの・あきら) 1997年7月22日生まれ。福岡県出身。2009年、『天才てれびくんMAX』(NHK)が開催したユニットオーディションに合格し、Dream5のダンスメンバーとして活動開始。『妖怪ウォッチ』のエンディングテーマ『ようかい体操第一』、『ダン・ダン ドゥビ・ズバー!』が大ヒット、2014年の『第65回NHK紅白歌合戦』に出場を果たす。Dream5活動終了後は俳優として活動の場を広げ、2016年、『ROCK MUSICAL BLEACH』~もうひとつの地上~で舞台初主演。ミュージカル『スタミュ』、ミュージカル『刀剣乱舞』など数々の舞台で活躍している。
お芝居の奥深さに今、夢中になっています
「最近いちばん嬉しかったことは紅白出演が決まったこと! 紅白の舞台はやっぱり特別。テンションが上がります」
取材が行われたのは、紅白を控えた年の瀬。2014年、ダンス&ボーカルユニット・Dream5の一員として『ようかい体操第一』で紅白歌合戦に出演した経験を持つ高野さんにとって、二度目の晴れ舞台です。
「出演が決まったことは発表の直前まで聞かされていなくて。だから自分でもあまり実感がないというか。ドカーンと嬉しいっていうより、じわじわ喜びが広がっていくような、そんな感じなんです」
そう紅白に臨む心境を語っていました。Dream5活動終了後、俳優として着実にステップアップ。代表作は、紅白出演も果たしたミュージカル『刀剣乱舞』。漫画やアニメ、ゲームを原作とした「2.5次元舞台」の世界で、今、高野さんは爆発的な人気を集めています。
「本格的にお芝居を始めてから今でちょうど3年目。お芝居はすごく楽しいです」
そう笑顔を弾けさせながらも、キャリアを重ねる中で、「楽しい」の意味合いが少しずつ変化していることを感じている、と明かします。
「お芝居を始めたての頃はとにかくガムシャラ。人からいただいた台詞を舞台の上で発することが単純に楽しくて夢中になっていました。今はもう少しその奥深さがわかるようになったというか。一言一言の台詞の裏側にあるサブテキスト(台詞の言外にある意味のこと)まで考えて感情を表現することに面白さを感じられるようになってきた。まだまだ未知のことも多くて、できていないことも多いと思うんですけど、それがやりがいになっています」
強みは、5歳から磨いたダンス。舞台上でも高野さんが踊りはじめると、そこだけ眩くきらめくような切れ味鋭いダンスで観客を熱狂させます。さらに、1月30日には1stシングル『LOVE STORY』をリリース。「片想い」「両想い」「失恋」という3つの恋を歌い上げ、俳優という枠にとどまらない多彩な才能を示しました。
「しゃくりとか、細かいニュアンスまでこだわってレコーディングをさせてもらいました。アップテンポとダンスチューンとミドルバラード。3曲それぞれジャンルも違うし、伴奏も素敵。すごくいいものができたので、ぜひたくさんの人に聴いてほしいです」
確定申告のやり方がわからなくて固まりました(笑)
自己分析によると、性格は負けず嫌い。できない自分に悔しさを感じることも多いのだとか。
「特にお芝居と歌に関しては悔しいって思うことが多い。上手い人を見ると悔しくなるし、もっと上手くなりたいって思います。あとはゲームをしているときとか。アクションゲームが好きなんですけど、ゲームでは絶対負けたくないです(笑)」
こんなコメントは等身大の21歳そのもの。「最近悲しかったことは?」と尋ねると、飾らない答えが返ってきました。
「スマホが通信速度制限に引っ掛かっちゃって……。Google Mapを開こうとしても画面が全然動かないんです。ズームもできなくて、かなり困りました。通信容量は毎月ピンチ。月末になると泣いてます(苦笑)」
同世代の友人は就職活動を行うなど、着々と社会人に向けて準備中。ひと足早く社会に出た高野さんも最近大人になったと感じることが増えたそう。
「家でハイボールをつくりはじめるようになりました。ずっとビール派だったんですけど、太っちゃうので最近ハイボールに切り換えて。仕事を終えて家で呑んでいる時間がいちばんのリラックスタイム。グラスに氷とウイスキーを入れて、そこに炭酸水を注いだとき、泡がしゅわーってなっているのを見ると幸せを感じます(笑)」
一方で、まだまだ大人になれていないなと思うことも多いようで……。
「確定申告に行ったんですけど、全然やり方がわからなくて固まりました(笑)。ちゃんと領収書を取っておくようにってよくアドバイスをいただくんですけど、それもうっかり忘れることが多くて。保険のこととかもよくわからないし。そのあたりはまだまだ全然大人になりきれていないなと思います(照)」
福岡出身で、年に数回は実家に帰るほど家族が大好きという高野さん。いつかは自分も家庭を持つことを夢に見ています。
「両親のことを尊敬していて。自分自身、『ご両親がしっかりされているんですね』って人から褒めてもらえるのがすごく嬉しい。だからいつか自分もそんなふうに言ってもらえる親になりたいですけど、今は役者の仕事がいちばん。結婚は当分先になるかな、と」
そんな高野さんの2019年の目標は、映像作品に出演すること。
「学園ドラマとか出てみたいんですけど、まだ制服いけますかね?(笑)」
そう照れ臭そうに笑うはにかむ横顔は、たまらなくキュート。男の凜々しさと愛らしさの両方を兼ね備えた高野さん。役者としてこれからどんな成長を遂げていくのか。じっくり見守っていきたい存在です。
<新刊紹介>
『a-books GRAVURE 2019 -Men's Collection』
2778円(税別) エイベックス・マネジメント発行
アーティスト・俳優・モデルなど、2019年注目のイケメンたちの撮りおろしブック。
人気ダンス&ボーカルグループDa-iCEの和田颯、ミュージカル『刀剣乱舞』などに出演し、人気沸騰中の元「Dream5」高野洸が表紙&裏表紙に。
さらに「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」ルパンブルー/宵町透真役として活躍中の濱正悟、高校生から熱い支持を得ているグループlol-エルオーエル-の小見山直人、大人気ミュージカル「テニスの王子様」3rdシーズン出演の増子敦貴&松村優など、様々なジャンルで活躍するイケメンたちを凝縮した1冊です。
<舞台情報>
朗読劇「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」
2月28日(木)~3月2日(土) 全5公演 @ヒューリックシアター東京
取材・文/横川良明
撮影/横山翔平
構成/片岡千晶(編集部)
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