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『あまちゃん』から『いだてん』へ。作家・宮藤官九郎の大河魂【いだてん 第二回】

若きの古今亭志ん生、美濃部孝蔵(森山未來)と、遊女の小梅(橋本愛)。  
第二回 「坊っちゃん」 演出:井上 剛
あらすじ
嘉納治五郎(役所広司)と、彼が見つけた“韋駄天”こと金栗四三(中村勘九郎)とは因縁浅からぬ関係だった。かつて嘉納が熊本大学で教えていたとき、五歳の四三(久野倫太郎)は父・信彦(田口トモロヲ)とふたりで試合を見学に行った。嘉納に抱っこしてもらうと丈夫な子に育つと信じられていたのだが、叶わず。だが信彦は、抱いてもらったと家族に嘘をつく。父に似て体が弱かった四三は、お産のときの呼吸法「ひっひっふー」から想を得た「スッスッハッハッ」という呼吸法によって、持久力を身につける。次第に、四三は「とつけむにゃあ」(とんでもない)な男に成長していく。


運命の出会いが激アツに描かれる


『いだてん』が面白くて、日曜になるとBSでの放送の18時を居住い正して待つようになっております。それだけでは足りず、朝9時からいち早く見るために4Kテレビ導入も考え中。空いた壁面は本棚、空いた床にも本が積み上げてある我が家にどうやって大きな4Kテレビを置くか悩みどころです。

さて。四三の話を『東京オリムピック噺』として語る古今亭志ん生(美濃部孝蔵)は四三と同時代人。熊本と東京と、生まれた場所は違うものの、やがて東京でマラソンと落語、それぞれのジャンルで日本人を魅了していきます。

第二話は、そんな四三と志ん生(孝蔵)のそれぞれの運命の出会いが激アツかつエモく描かれました。四三は熊本で、やがてオリンピックを目指すことになる嘉納治五郎と、志ん生(孝蔵)は浅草で落語の師匠となる橘家円喬(松尾スズキ)と……。
熊本はふんだんにロケ。大自然いっぱい。浅草は、作り込まれたロケセット(浅草)と寄席セットでそれぞれ見応えあり。冒頭のミュージカル調な浅草の人々描写も良かったですね。

この並行のさせ方がじつに見事。バラバラな時間と場所を、出会いが人を変えるという共通点によって、うまいことつなげています。

四三と嘉納、志ん生と円喬のみならず、第二話のサブタイトル「坊っちゃん」は夏目漱石の代表作ですが、漱石は嘉納治五郎を尊敬していたのだそうで、嘉納の試合を観に来たものの混んでいて見られないでいる四三を抱きかかえて試合を見せてあげたのは、クレジットでは「口ひげの青年(ねりお弘晃)となっていましたが、演じている俳優さんのツイッターでは漱石役となっていたので、漱石のようです。ただこれは宮藤官九郎さんの創作。

この小粋な創作も出会いのひとつとしてドラマを楽しく彩ります。ただ、後に、幼馴染の美川秀信(勝地涼)が夏目漱石の話題を出して、肖像を見せても気づいてないところが可笑しい。そして、美川が行くことにする東京高等師範学校には嘉納の名が……。とどれだけ因縁深いのでありましょうか。

また、父が生前「お国のために闘え」と言っていた言葉が四三の人生にさりげなく影響を与えているようで。海軍兵学校は残念ながら落ちてしまいますが、いつしかオリンピックで「お国のために闘う」ことになるわけですね。
後の妻・スヤ(綾瀬はるか)とも父・危篤の重要なときに出会っていて、成人後の出会いは、昨年の大河ドラマ『西郷どん』の吉之助(鈴木亮平)と糸(黒木華)と同じく橋!

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