MB ファッションバイヤー、ブロガー、作家、アドバイザー。ブログや書籍、メルマガ、セミナー等で伝えている「最速でおしゃれに見せる方法」によって、「人生が変わった」という男性が続出。おしゃれを論理的に教えるサイト、『ノウアーマグ』のほか、氏が主催するオンラインサロン『MBラボ』は、日本最大のメンズファッションコミュニティとして各方面から注目を浴びている。また、日本最大のメルマガ配信スタンド、「まぐまぐ」で毎週5万字にも及ぶメルマガを配信し、現在メルマガランキングで人気第2位を獲得。書籍『最速でおしゃれに見せる方法』、漫画『服を着るならこんなふうに』など、関連書籍は累計100万部を突破。

 


男性のおしゃれのルールを分析したオリジナルのメソッドが受け、いまブログやメルマガ、書籍などで話題沸騰中のファッションバイヤー、MBさん。『どこでも買える服で、誰でもすぐにおしゃれになれる』という理論的かつ具体的なアドバイスで、これまで洋服に関心のなかった多くの男性のファッション偏差値を上げ、さらには人生そのものまでもハッピーに導いています。

そんなMBさんのロジックには、日々おしゃれを試行錯誤しているミモレ読者の迷いをスパッと一刀両断するようなヒントが隠れているかもしれない! ということで、いつもは男性の着こなしについて語られるMBさんに、今回は女性のファッションについて詳しくお話を伺うことに。

MBさんならではの明快な視点が冴える、目から鱗が落ちるようなトーク内容は必見です!


MB理論を応用すれば、女性のおしゃれがもっと楽になる?


―ミモレの読者に多いのが、「ファッションは好きだけれど、何を着ていいか分からない」、「自分の装いに自信がない」、「どうコーディネートするのが正解なのか知りたい」というお悩みの声。みなさんそのままでも十分におしゃれなのですが、ファッションに興味があるからこそ、かえって自分を追い詰めてしまっているような気がしてなりません。肩の力を抜いて『装うこと』を楽しむにはどうすればいいんだろう?もしかしたら、センスというあいまいな感覚ではなく、MBさんの提唱されているようなルールに基づいて論理的にコーディネートを組み立てれば、おしゃれをすることがもっと楽になるのではないか? そんな発想から、今回MBさんにぜひお話を伺いたいなと。

MB:ありがとうございます。実は僕のメルマガやブログの読者さん、オンラインサロンの会員さんたちも、みなさん同じようなことを言っていますよ。おしゃれにお金も時間も使っているのに、いまいちスタイルが決まらないし、全く自信がつかない。何が正解なのか分からないと。でも、まずお伝えしておきたいのは、ファッションに正解なんてないんだということです。トレンドにしても常にぐるぐるとまわっていて、そのサイクルが延々と続いていきますよね。そこに1つの答えなどあるわけはないんです。何が自分にマッチするのか、おしゃれに見せてくれるのかということをずっと探し続けていくこと。そして、そういう過程を楽しむこと自体がファッションなんだと思うんですよね。


―ファッションに正解などないのだから、悩んだり探し続けたりすることを楽しめばいいと。そう考えたらずいぶん気が楽になりますね。それを前提にしたうえでMBさんの理論を使うことができれば、コーディネートにいちいち頭をひねることもなくなって、「正解」の呪縛から解放される人が増えそうな気がします。MBさんのルールはあくまで男性に向けたものですが、女性にも応用できるのではないでしょうか。

MB:たとえば『ドレスとカジュアルのバランスを7:3にととのえる』というルール。これは、メンズでいえば白シャツやジャケットなどのスーツスタイルで使う『ドレス』アイテムと、パーカやデニム、スニーカーなどの『カジュアル』アイテムをミックスしてコーディネートしましょう。その配分は全身のうちドレス7対カジュアル3というのが、一番おしゃれに見える黄金律ですよというものです。女性の場合にはアイテムやカテゴリ数が多いから、メンズに比べて少し複雑ではありますよね。でも、よく甘辛コーデというように、レディースでもいかに1つのベクトルで統一しないようにバランスをとるかというのが着こなしの大事なポイント。だから、基本的には男女に共通するルールだと思います。

「僕は大好きなファッションによって自信がつき、人生が変わった一人。洋服にはそれくらいの力があるんです。実際、僕のメソッドを実践している方々から「女性とコミュニケーションがとりやすくなったおかげで彼女ができた」、「うつがよくなって外出できるようになった」、「交友関係が広がった」etc.……、いい報告をたくさんいただきます。それが何よりも嬉しい」と語るMB氏。


おしゃれが決まらないという人はボトムスを見直そう


―ご著書にあるように、『服はボトムスから揃える』というルールも画期的な内容でした。というのもたいていの場合、とくに女性が服を買うときは、ぱっと印象を変えてくれるトップスを選びがちだと思うからです。そして家に帰っていざ手持ちのボトムスに合わせてみたら全然マッチしないとか、次のシーズンにはもう着られないとかいう失敗をしてしまうこともあったりして。それでまた着こなしを悩んでしまうという。

MB:おっしゃる通り、実はボトムスを買う人ってそんなに多くないんですよ。僕は販売員をしていたことがあるのでリアルな状況を見ていましたが、お客様が10回お買い物をするとしたら、そのうちの7回はトップスを買っている。確かにトップスは一枚で印象をがらりと変えてくれるし値段的にも買いやすいから、すぐに手に取ってしまうという気持ちはよく分かります。でも僕からすると、やはりまず手に入れるべきは装いの基軸になるボトムス。たとえば大人が白シャツとぼろぼろのストレートデニムの着こなしをしているとどこか野暮ったいけれど、ボトムスを黒い細みパンツに変えるだけで途端にサマになってしまう。この違いはシルエットに鍵があります。ボトムスが細いと、トップスがコンパクト、またはボリュームのあるものでも、上下でⅠラインやYラインのシルエットを形成するため、体形がすっきりと見えて全身の印象が美しくとととのうのです。つまり、シルエットの綺麗なボトムスさえ持っていれば、合わせるトップスがどんなものでもある程度はおしゃれに決まるということ。手持ちのトップスだって生き返ります。何枚もトップスを揃えるよりも、よほどお金がかからず満足度の高い方法だと思うので、みなさんにお勧めしているというわけなんです。


―なるほど。スタイルが決まらないと悩む女性は、一度ボトムスを見直してみるといいかもしれないですね。

MB:それから、メンズとレディースに共通していえることといえば、意識したいのが『抜け感』のある着こなし。それを演出するには、たとえば買ってきたシャツをプレスがきいた状態でそのまま着るのではなく、首の部分を広げたり袖を少しまくったりして肌をのぞかせるとか。首と手首、足首、つまり『3首』のどこかをちらりと見せるというテクニックを使うのが、一番簡単でおすすめです。そういう隙のある着こなしが調味料のようにさりげなく、かつ効果的に効いて、色気を醸し出してくれるんです。色気のある人は男女を問わず魅力的ですよね。僕はよく読者さんや会員さんに、隙のある着こなしができれば誰でも『雰囲気イケメンになれる』と言っています(笑)

―女性も隙を作れば誰でも雰囲気美人になれますね(笑)


女性の装いには『抜け感』と『華やかさ』が必要


MB:もちろんです(笑)。こうして男女で共有できるルールがあるいっぽう、明確に違うルールもあります。それは、メンズの場合は着飾るのはNGだけれど、レディースの場合は逆に着飾ることが前提にないとダメだということ。これは古来からの本能の違いによるもので、男性は着飾るよりも鍛えた体にシンプルな服をまとっているほうが格好よく見える。つまり、いかに作りこまずナチュラルに格好良く見せるかがテーマなんです。それに対して女性は古くから化粧をしてきたように、作ったり着飾ったりすることでいかに美しさや可愛らしさを演出するかというのがテーマ。だから、女性には『華やかさ』が必要なんです。女性が削ぎ落されたシンプルなスタイルをしてしまうと、おしゃれかもしれないけれど地味な印象になり、元来の美しさからは離れていってしまいます。だから、服がシンプルだとしても、アクセサリーや小物などで華やかさを強調するような着こなしをしたほうがより素敵に見えると思います。

「個人的には優しくてよく笑う人が好きですね。芸能人でいえば、はしのえみさんが昔からタイプです。逆に、雑誌の中のモデルさんのように、ファッションを完璧に決めている女性はちょっと苦手。怖くて近寄れません(笑)」


後編「「おしゃれな人は、自分のために服を着ていない」【カリスマメンズバイヤーの結論】」>>

 

<書籍紹介>
『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』

MB 著 ¥1000(税抜) 扶桑社

中高時代にアニメとゲーム好きだったオタク少年が、兄の洋服を借りたことから人生が変わり始める。そんな著者が、実体験を交えながら架空のさえないサラリーマンAさんにおしゃれを指南していくという対話形式のファッションルール本。理論的で明快なメソッドだけでなく、読んでいるうちに何か行動を始めたくなるほど前向きな気分になるような内容で、男性だけでなく女性も必読の一冊。


撮影/片岡 祥
取材・文/河野真理子
構成/川良咲子