©相馬ミナ/TRANSIT43号

インドとチベットに挟まれた内陸国・ネパール。山登りをする人にとっては世界最高峰のエベレストを擁する憧れの地であり、バックパッカーにとってはインドの奥に控える癒やしの地でもある。だが実は、山好き、旅好きはもちろん、そうでなくても十分楽しめる国でもある。トラベルカルチャー誌TRANSITではそんなネパールを総力特集。ここではネパールを訪れるべき5つの理由を、TRANSIT編集長の林紗代香が紹介する。


その1 アーユルヴェーダ体験をしよう

©篠塚朋子/TRANSIT43号

「ネパールは自然治癒力を生かした伝統医療・アーユルヴェーダの文化が息づいている国。インドやスリランカも有名ですが、ネパールはさらに安価にアーユルヴェーダのホスピタル体験(宿泊して専門的なアーユルヴェーダ治療を受けること)ができる場所です。私の友人も何人か、アーユルヴェーダのためにネパールのホスピタルを訪れていました。滞在中は、医食同源に基づいた食事を毎食とることができ、ヨガをしたり瞑想したりと、セルフケアに集中できる。心身の癒やしを目的に旅ができるので、女性におすすめですね」


その2 気軽にヒマラヤを歩こう

©相馬ミナ/TRANSIT43号

「今回のTRANSITの取材では、女性の編集部員とフォトグラファーの取材班が『エベレスト街道』を歩いてきました。エベレスト街道というのは、エベレスト登山のキャラバンが通る、ルクラという村からベースキャンプまでの約48kmのトレッキングルート。標高3000mを超えるような場所にあるのですが、そのエリアに暮らす人たちの食料を運ぶための生活道でもあり、子どもたちの通学路でもあるので、ローカルの暮らしが見られるという意味でもとても魅力的な道なんです。

その街道沿いに日本人がつくった〈ホテル・エベレスト・ビュー〉というホテルは、オーナーが『一人でも多くの人にエベレストを見てほしい』という思いで建てたそうです。今やこの場所は山好きたちの憩いの場となっています。玄人の登山者でなくとも、『エベレストが見たい』『〈ホテル・エベレスト・ビュー〉に泊まりたい』と、各々のゴールを見つけて山を歩くのもいいですよね」


その3 インドより優しいネパール(!?)を旅しよう


「昔から“一生に一度は行きたい場所”と称されるなど、バックパッカーの聖地とされてきたインド。そのインドをもう少しマイルドにした印象なのがお隣のネパールです。インド人の押しの強さや混沌とした街に疲れたバックパッカーが、ネパールに癒やしを求めて訪れるなんて話も聞きます。

©相馬ミナ/TRANSIT43号

ネパール人は優しくて、ちょっとシャイで、日本人と似ているところを感じます。食事は豆のスープと米を主役にしたダルバートと呼ばれるものが定番ですが、スパイスたっぷりのインド料理と比べると、辛さは控えめ。日本の“お米とお味噌汁”の感覚にも似ていてるかもしれません。そういう意味で、日本人との相性も良い気がしますね」


その4 神秘に触れよう

©丸尾和穂/TRANSIT43号

「ネパールには昔ながらのお祭りや風習がまだまだ残っています。多民族国家なので、宗教のバリエーションもさまざま。ヒンドゥー、仏教、土着の宗教のお祭りや儀式が毎日のようにあります。生き神・クマリという存在もいて、選ばれた少女が預言を行ったりもしているんですよ。ネパールの南にはブッダが生まれた聖地・ルンビニがあり、ここから仏教が伝わってきたことを考えると、意外と日本とも縁のある場所でもありますね。たくさんの神様に囲まれて、日々お祈りを捧げながら生きる人びとの姿を見ると、こちらまで神聖な気持ちになります」


その5 実は身近なネパール文化を感じよう


「日本に滞在する外国人のなかで、近年急増しているのがネパール人なんです。現在は10年前の10倍、約8万人のネパール人が日本で暮らしているといいます。ということで、“日本のなかのネパール”を訪れた企画も誌面でとりあげました。『新大久保ダルバート探訪』では、カレー&スパイス好きなタブラ奏者のU-zhaanさんと水曜日のカンパネラ・コムアイさんに、それぞれが好きな新大久保のダルバート屋さんを紹介してもらいました。

©飯坂 大/TRANSIT43号

新大久保はコリアンタウンとして知られていますが、実はネパール料理店も多く、美味しいカレーやモモ(ネパールの餃子)が安く食べられるんですよ! 『東京リトルネパール物語』では東京とカトマンズを行き来して働くネパール人ビジネスマンの日常を追いかけたり、荻窪にある世界初のネパール人のインターナショナルスクールに潜入取材しました。ネパールがいかに“身近な異国”であるか、お分かりいただけると思います。2015年のネパール地震以降日本人観光客の数は減ったと聞きますが、現地を訪れることも国の復興につながるので、ぜひ旅してみてほしいです」

いろんな視点で楽しむことができるネパール。ぜひ大型連休の旅先の一つとして考えてみては?

 

<書籍紹介>
『TRANSIT(トランジット)43号 カトマンズもヒマラヤも! 愛しいネパール』

発行 euphoria factory / 発売 講談社 ¥1800(税別) 
3月14日(木)発売 電子版も発売中!

TRANSIT43号では、世界最高峰のエベレストをはじめとする8000m級の山々に抱かれた国・ネパールを特集しました。特集:ネパールでココロ・カラダととのえ塾(アーユルヴェーダと哲学/聖なる植物/家庭料理/セルフケア)、ヒマラヤ不思議百貨(高所と人体/消えた王国・ムスタン/開拓の歴史 etc)、ゆっくりいこう、ネパール(政治/経済/環境/教育/キーパーソン)など。付録:「ガイドブック・ネパールでしたい88.48のこと」「〈THE NORTH FACE〉のヒマラヤステッカー」。


構成・文/TRANSIT編集部