先日、日本への一時帰国中に子どもたちを連れてディズニーランドに行ってきました。春休みも終わったかなと言う平日だったのにも関わらず、結構大学生くらいの若い子たちや外国人のお客さんがたくさんいて、混んでいました。
ディズニーランドは4年ぶりくらいで、あまり変化を追えるほど詳しくもないのですが、今回若いカップルが多かったからか、目に付いたことがありました。カップルを見ていると、ミッキーとかイースターのウサギとかのカワイイ耳を、彼女とおそろいで着けている彼氏くんがとても多いのです!(男の子だけで「耳」をつけているグループもありました)
もちろん昔もそういう男の子はいたでしょうし、今も「耳」をつけたくない男の子はいると思うのですが、なんとなく自分が高校生とか大学生のとき、あるいはもっと上の世代だったら、そういう格好をしているのは女の子が中心で、一緒にカワイイことをするのは嫌がる男性が多かったのではないかなと感じました。
くしくも今回の帰国では、2月に小島慶子さんが出された『さよなら! ハラスメント』という私も参加した対談本のトークイベントにも出させていただいており、そこでは男性が縛られている「男らしさ」についても話題にあがっていました。
生まれつき男の子はこう、女の子はこう、というものは、統計を取れば多少の性差はあれど、やはりこの世の中にはジェンダーバイアスのあるメッセージがメディアにも日々のやりとりにも溢れていて、後天的に「社会化」されている側面は大きいです。
男の子は泣いちゃだめ、弱音を見せてはいけない、男らしくしなさい、「強い」のがかっこいい男だ、マッチョでなくてはいけない、大黒柱であらねばならない、パワハラにもアルハラにも耐えてなんぼ……。こうしたメッセージを男性たちは家庭や、学校や部活動、会社で受け取ってきています。
『さよなら! ハラスメント』の中では男性学の専門家や、痴漢など性犯罪の加害者側と対話をしてきた精神保健福祉士の斉藤章佳さんらが、男性が受けてきた抑圧についても言及しています。小島慶子さんと斉藤さんはこうした男性側にも女性側にもそれぞれ別の圧がかかっていることを「男尊女卑依存症社会」と呼んで、このお二方と私が参加させていただいたトークイベントでも、ここから抜け出さないといけないねという話をしました。
そこで思い出したのが、ディズニーランドでカワイイ耳をつけた若い男の子たちのことです。これまで、男女平等というと、ついつい女性が「男性並み」を目指してしまい、たとえば「専業主婦の母のように家事と育児を完璧にこなしながら、会社員だった父のように立派に働きたい」というようなハイブリッド型を目指して引き裂かれてしまったり、名誉男性的なふるまいをして男尊女卑を強化してしまうようなことがあったと思います。
でも、そうやって男性も女性もマッチョな方向にいくのではなく、男の人たちが(女の人たちも)マッチョじゃなくてもいい、カワイイことをしたければしてもいい、泣き言を言っていいし、そもそも「いい大学にいって、いい会社に入って、家族を養う」なんてコースは崩れつつあるのだから、ときにそういうルートを外れてもいい。
もちろん、社会全体あるいは政策的には、「雇用を通じた社会保障」が崩れつつあるなかで男性も女性も、そしてその子どもたちが、様々な保護から零れ落ちてしまうケースがあるでしょうから、セーフティネットを厚くする必要も出ていると思います。
が、本人たちの価値観という意味でいえば、従来は強固だった男性の「男らしさ像」「かっこいい像」は、りゅうちぇるさんのようなタレントさんや、ディズニーで耳をつけている男の子たちが軽やかに超えて行ってくれるといいなと思いました。男性だって色々でいいし、男性ばかりが外で稼ぐことに強硬なプレッシャーを感じる必要はなく、むしろ家事も育児も稼ぐことも両方一緒にやっていく、それが普通と考えるカップルが増えていくといいな、と。
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