今年1月にオープンした、大好きなブランドのひとつ、アレキサンダー・マックィーンのボンドストリートにある旗艦店へ出かけました。現クリエイティブ・ディレクターのサラ・バートン氏と建築家スミルハン・ラディック氏とのコラボレーションによってデザインされたショップです。

入口には、大小さまざまの、たくさんの昆虫の刺繍ワッペンが縫い付けられたネットが1~2階の吹き抜け部分にたらされています。このミステリアスな森に迷い込んだようなディスプレイを、食い入るように見つめてしまいました。1階はレディス、2階はメンズで構成。「これ、運び入れるのはさぞや大変だったでしょう」と思われる巨大な石や大理石が配置され、直線と曲線のバランスが絶妙な空間でした。


こちらのショップの3階は、エキシビジョンやワークショップ、講演会などに利用されるというクリエイティブスペースです。私が訪れたタイミングでは、“Unlocking Stories(物語の解放)”というエキシビジョンが開催中。マックィーン氏が遺したアイデアや作品の他にサラ・バートン氏によるクリエイションも公開されていました。そのクリエイティビティに高い評価を得ているブランドのアイテムが産み落とされるプロセスが惜しみなく公開されているエキサイティングな展示です!

  • 刺繍が施される場所を示した設計図。とにもかくにも繊細で細かい!
  • その原寸の型紙。
  • そして、実際のドレス。


テーラーリングや刺繍、テキスタイル……などの高い美意識と技術とともになぞられていく、イメージを形におとしこんでいく思考の導線。それを追体験できる、とても贅沢な時間でした。


2000年からヘッド・デザイナーとしてマックィーン氏の右腕だったサラ・バートン氏が再現したコレクション。最新テクノロジーを用い、何事にもチャレンジ精神を忘れなかったマックィーン氏(骨頂は、自身も感動したと映画の中のインタビューで語っていた以下の動画かな、と)の遺志をきちんと受け継いでいる姿勢に、ちょっと目頭が熱くなってしまったり……(本当に最近、涙もろくなってしまった……)。


↓18分40秒あたりからご覧ください。

ランウェイの写真と……
そのアーカイブ。なんだか棺のようにも見え、やっぱり涙ぐむ私。
スタッフの方もとても親切! アーカイブに触れることはできませんが、お願いすると広げてくれます。
マックィーン氏が訪れ、撮影したというインスプレーションを得るための旅のスナップが壁に。


公開館数は少なくなってしまいましたが、映画『マックィーン:モードの反逆児』も公開中。労働者階級出身のデザイナーとして時代の寵児となった、彼のデザイナーとしての人生に迫ったドキュメンタリーです。こちらは、「苦悩」にスポットを当てすぎているきらいもありますが、当時から彼のコレクションをチェックしていた私としては、その裏側で起こっていた事実を知ることができ、なかなかに思うところが多い作品でした。こちらの映画鑑賞後に展示を観たこともあり、余計に物思いに耽りやすい状態だったかもしれません。

しばらく、この展示が続くそうです(終了しても、いろいろなコンテンツを企画していくとのこと)、ファッションに興味のある方はもちろん、鬼才の頭の中を覗きたい方、先進的クリエイティビティに触れたい方は、ロンドンにお立ちよりの際にぜひ!