子どもとのひと時を楽しむ、スキンシップの着物選び【5日間コーディネート】
京都の禅寺にて生まれ育ち、着物を日常着とする伊藤仁美さん。
着物の礼節を重んじつつ、ファッションとしての着こなしも存分に楽しんでいます。面白いのは着物や帯、小物選びだけでなく着こなしにも理由があること。誰に会うのか、どこへ行くのか。時間は、季節は——。彼女の着物セオリーには、洋服にも取り入れられる“セルフプロデュース”のヒントがたくさん潜んでいます。
「保育園の送迎には大きなバッグとベビーカーや抱っこ紐が必須。さらに通勤・帰宅ラッシュの電車に乗ることもあるため、とにかく機能重視の着こなしです。まず草履は抱っこをしても安定性のある低いタイプ。拭くだけで汚れがある程度落とせるエナメル素材にすれば、帰りに公園に寄っても安心です。帯はおんぶをした時も、電車で座れた時に背もたれに身を預けても楽なように半幅帯で「矢の字」という結び方をしています。
藍染めの帽子絞り(ぼうししぼり。絞った部分が白く残るように染め上げる、絞り染めの手法のこと)の小紋の着物とは、リサイクルショップで出会いました。汚れの目立たない色なので、息子が砂遊びをした時に駆け寄ってきてもしっかりと抱きしめてあげられます。彼と過ごす大切な時間は、100%スキンシップが取れるようにしています」(伊藤さん)
カジュアルな時こそ、女性らしさを引き立てる「赤」の力を
「カジュアルな着こなしには、長襦袢や帯締めなどに少しだけ赤を効かせ、女性らしさを取り入れています。洋服で例えるなら、デニムスタイルにヒール、という感覚に近いかもしれません。分量にしたら本当に少ないのですが、あるとないのとでは着姿が随分と変わります」(伊藤さん)
スタイリング・モデル/伊藤仁美
取材・文/笹本絵里
構成/川良咲子(編集部)
HITOMI ITO
伊藤仁美。京都祇園の禅寺に生まれ、和の空間に囲まれて育つ。2015年より活動の拠点を東京に移し、着付けサロン「enso」をオープン。同時に着物暮らしを始める。国内外にて講演やセミナー、イベント出演や、雑誌・広告などで着付やスタイリング、そしてモデルとしても活躍中。アート作品にも多数参加、海外メディアにも取り上げられる。現在は一児の母として、着物で過ごす日々にある豊かさも発信中。また、令和元年5月1日に「enso japan」プロジェクトが始動。第一弾としてニューバランスとコラボレートしたムービーが同日に配信された。http://www.hitomi-ito.com