『アベンジャーズ/エンドゲーム』や『キングダム』など見応えのある大作映画が居並ぶ今年のGWは、実はミニシアター系も良作揃い。泣いて笑って、映画館を出るときに晴れやかな気持ちになれる3本をピックアップしてみました。


バディもの好きにおススメ!お笑いコンビの苦楽が笑って泣ける

『僕たちのラストステージ』新宿ピカデリーほか全国順次公開中 © eOne Features (S&O) Limited, British Broadcasting Corporation 2018

まずは20年代から50年代までアメリカで活躍したお笑いコンビ、ローレル&ハーディを主人公にした『僕たちのラストステージ』。日本でも極楽コンビとして親しまれていたというふたりの晩年にスポットを当てた作品です。出演したハリウッド映画もヒットして大人気コンビになったふたりでしたが、時は過ぎて1953年。イギリスの小さなホールを回るツアーでは、空席が目立っています。薄汚れたホテルに宿泊しながら、彼らはツアーを続けていくことになります。

『僕たちのラストステージ』© eOne Features (S&O) Limited, British Broadcasting Corporation 2018

鉛筆のような体型で皮肉屋、ネタ作りも担っていたローレルと、休みの日には仕事場に近づかなったという“大きな赤ちゃん”のような体型のハーディ。ルックスも性格も違うふたりですが、彼らには長年の仕事を通して築かれてきた信頼関係と親密さがあります。幼なじみや友人がコンビを組んで成功していく物語とはまた違うやるせなさと感動があるのは、彼らがもともとはプロデューサーによって組まされたコンビだからかもしれません。仕事のために手を組んだ男たちが苦楽をともにして活動していくうちに、ただのビジネスパートナーとも友人とも違う唯一無二の関係を築いていく。お笑いコンビやアイドルグループが持つそんな“ストーリー”に惹かれる人、バディものやブロマンスものに弱い人には、グッとくるシーンがたくさん織り込まれているのです。パントマイム的な動きやボケとツッコミの原点とも感じられるシンプルな笑い、そしてふたりを支えた妻たちのエピソードも、気持ちのいい笑いと涙を誘ってくれます。

 


過酷な体験の中にも不思議な穏やかさが

『ドント・ウォーリー』5月3日(金・祝)ヒューマントラストシネマ有楽町・ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館他全国順次公開 ©2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC

『ドント・ウォーリー』は、今は亡き名優、ロビン・ウィリアムズがその半生に魅せられていたという風刺漫画家、ジョン・キャラハンの物語です。酒に溺れる毎日を過ごしていたジョンは、交通事故によって胸から下を動かせない体に。介護人の手助けがなければ暮らせない日々のなかで、最も苛立たしいのは酒の瓶を自分で手に取って開けられないこと。それほどアルコールに依存していた彼が、禁酒会に参加することで少しずつ新しい扉を開けていく過程が描かれていきます。

『ドント・ウォーリー』 ©2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC

それぞれに事情と過去を抱えた人たちが集うグループでの会合で、ときには怒りを爆発させながらも明かされる、自分を捨てた母への思い。絶望からはじまる心の旅を、『誘う女』以来、ガス・ヴァン・サント監督とは二度目のタッグとなるホアキン・フェニックスが体現しています。ドキュメンタリータッチで過酷な体験を描いているのに、周囲の人々との触れ合いによって赦し赦されていくことを知る物語には不思議な穏やかさが。ルーニー・マーラ演じる恋人、(驚くほどセクシーな!)ジョナ・ヒル演じる禁酒会の主催者との関係はもちろん、ポートランドの街で車椅子を走らせるジョンとスケボー少年たちのさりげないやりとりにも、希望の灯が感じられます。

 
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