書店で目が会いました、ウルトラの母と。パラパラと中を少し覗き、買わずにはいられませんでした。

そして、久しぶりに雑誌を買いました。

私と目が合った、『昭和40年男』の最新号です。

『昭和40年男』。実はこれまでにも数冊買っています。なんという雑誌名でしょう。あまりにも限定的、かつ斬新な雑誌名で、書店などで目にする度に、いつも清々しいなぁ、と思って見つめています。だって、「Born in 1965」と言い切ってしまってますよ(笑)!

そして、最新号のテーマ名「俺たちのお母さん」。

バックナンバーを見ていただければわかるのですが、“俺たちの●●”はこの雑誌の常套句で、「俺たちはこうだったよな!」と仲間を鼓舞し、仲間意識を煽る掛け声みたいなものです。

とはいえ、母の日近辺の発売日ということもあったのでしょうが……「お母さん」って(笑)。それで、「特集がつくれる!」「一号いける!」と踏み切った編集部のノリの良さを想像し、楽しんで雑誌を作っていた昔の自分を懐かしみ、とても温かい気持ちになるのです。これぞ、雑誌編集者の醍醐味よ! 「バカだねぇ」と多くの人があきれ顔で言うようなことに大真面目にとり組む楽しさよ。私が愛するタモリ倶楽部のようなものでしょうか。「わかる、わかる」と言い合える仲間同士でウシシッとほくそ笑みあえるのって、最高の悦びですよね。

雑誌の説明文には……

「ただ懐かしむだけじゃなく、ノスタルジックな共感や情熱を明日を生きる活力に変える」をテーマに懐かしのあれこれを振り返る。

……と書いてあります。

でも、「オトコって昔をノスタルジックに振り返るのが好きよねぇ~」とか「オトコってマザコンよねぇ」と読まずにスルーするのはちょっと待った! 

そう切り捨てては本当にもったいない。当時の製作陣や関係者へのインタビューが盛りだくさん(たとえば、『俺たちの旅』脚本家の鎌田敏夫大先生に八千草薫さんのことを聞いていたり)。かなり手間暇をかけた昭和濃度高めのカルチャーネタがたくさん詰まっておるのです。

どうですか、このラインアップ。webの世界のように不特定多数の人に見られる場所ではなかなか挑戦できない、読者が限定的だからこそ楽しめる内輪受け(!? )の良さがよく出ていて、天晴だなと私は思っております。そして、昭和40年男がターゲットなので、文字も大きくて、読みやすいです♪


この特集では、100位まで、いろいろな「お母さん」がランキングされています(たとえば、目次に出てくる以外では、ビートたけしの母/北野さき、マルコの母/アンナ・ロッシ、おしんの母/谷村ふじ、パタパタママ……などなど)。編集部の独断と偏見に満ちた、いや愛情のこもったランキング結果を見るだけでも胸につまるものがあります。アニメ、ドラマ、バラエティ、歌謡曲……フィクションもノンフィクションも垣根なく、ただただ昭和を彩った「お母さん」が大行進。その中には、メーテルやモスラなど、「お母さん」ではなく「母性」文脈のキャラクターも出てきます。

たとえば、モスラ(MOTHRA)。その名前が、MOTH(蛾)とMOTHERを組み合わせた造語だったなんて、皆様、知っていましたか? また、映画に流れるメッセージ、『ゴジラ』では戦争の恐怖を、それを『モスラ』では平和への願いに反転させていたなんて気がついていましたか(大興奮。観直さなきゃ)?

私は鼻息を荒くしながら、ふむふむとこの一冊を先週末に読破いたしました。

今、あなたが思い浮かべている「昭和のお母さん」が選ばれているか、そして、何位にランクインされているか気になってきませんか? ぜひ、直接、その目でお確かめください(注:私は決して、こちらの編集部のまわしものではありません笑)。

余談ですが、私が『昭和40年男』の中で、過去ナンバーワン表紙だと思っているのは「俺たちの角川映画」です。このセンス、そしてそれ以上に、この勇気(もちろん最新号もかなりのレベルだと思いますけれど)!

編集者人生を終えるその日までに、こんな悪ノリ出版物(!?)を世に放てたらいいな、と結構本気で思っています。

 

今日のお品書き
田中美和さんが育休中の友人に送ったアドバイスを読み、まるで自分に言われているかのような気分に。ワーク・ライフ・バランスで何を大切にすべきかの優先順位を決めるのは、自分であるべきなのだよな〜、と。育休中ではない皆様も、ぜひ、自分の仕事観を見直すキッカケにご一読してみてくださいませ。