前回に続いて第二弾。2年前にもインタビューに応じてくれた、プロデューサーの小泉今日子さんからもお話をお伺いしました。

____芝居噺シリーズが2作目となり、昨年は小劇場で坂元裕二さんの脚本の舞台も制作もされましたが、裏方のお仕事は慣れてきましたか?

小泉さん:毎度役者さんやスタッフも変わるので、慣れることはなかなかないのですが、自分の問題点がはっきりしてくる。少しずつ見えてきた感じもしますが、まだまだという感じです。舞台にしても映画にしても出るという立場に長くいた中で、作るということも少しながら携わってきましたが、そこの長となって動くとなれば、その大変さや業務の違いが明確にわかりますね。

こちら(制作)側から皆さんの稽古を見てると、「あの場所に戻れるのかな〜」なんて思ったりしますよ、大変だな〜って(笑)

『つなげていきたいバトン』

ものを作りたいという気持ちを持っている若手の俳優さんがたくさんいらっしゃる中で、ただ経験ややり方などいろんなものが追いついてなかったり、思いっきり芝居したいけど、その場所がなかったり、年齢とか関係なくそんな役者さんはいっぱいいるのは確かで、本当にこういう場があるんだよ、作ろうと思ったら作れるということを具現化していきたいです。

若い俳優さんがいる中で、豊原功補さんという俳優が40年弱、俳優としてやってきて得たものを、伝承というか、培ってきた技術や、技術だけじゃない何かを惜しみなく与えている気がして。日本の俳優さんはプロになってスキルを磨くのが難しい現状がありますが、そういう中で、ここの場は若い役者さんが集まってスキルを磨いたり、活躍の場を得たり、そういう場所であってほしいかな〜って。

今回新宿の紀伊國屋ホール前で練り歩き。みなさんカッコよかった!

『色々な世代が集まるということ』

説教おばさんにはなりたくないけど(笑)、昔はこうだったというような自分の経験だけでものをいいたくない自分がいます。若い人たちに教えてもらえることも色々ありますし。ものを作ってる場所って唯一誰でも対等であっていい気がします。そういう場所を作っていきたいですね。反対になかなかそういう考え方になれないのが芸能界でもあったりするのですが、徐々に変わってきてるような気がします。そこに小さい石を少しずつでも投げていきたいですね。

____色々変換期ですね。時代も変わりましたが・・・

小泉さん:敏感な人は、もうすでにそれを感じているように思います。昭和に作られた芸能というシステムがそのまま続いている気がするのですが、令和という元号に明るいものを見ようと思っています。平成という時代はなんとなくぼんやりしていて優しすぎるな〜って感じがしていたんですが、「令和」と聞いたときに、背筋が伸びる思いというか、個々がもっと挑戦できて活躍するような時代であってほしいと思います。

女性陣たち集結。皆様粋で美しい〜♡

私たちと同じくミモレ世代の小泉今日子さん。幾つになっても飽くなき探究心とブレないスタイルは健在。大人になれば戦うことをやめてどこかで折り合いをつけようとしがちですが、小泉さんの潔い生き様にはいつも憧れます。

 

明後日公演2019芝居噺弐席目「後家安とその妹」

前回の「名人長二」では、ベテラン勢の錚々たる顔ぶれと渋みのある演技が魅力でしたが、今回はフレッシュに、「落語」という題材の中に存在する独特のリズムに乗せ、エンターテイメントの魅力が凝縮されたような演出です。その中で若い役者が本気ぶつかり合い、その熱量を思いっきり感じ取っていただきたい舞台です。後家安役に朝ドラ「まんぷく」の塩軍団や映画「ケンとカズ」で鋭い眼光と狂気に満ちた演技が話題になった毎熊克哉さん。そしてその妹のお藤役にはインディーズの映画界では売れっ子ながら、演技や独特な存在感を放ち、これからのご活躍が期待される芋生悠さんのダブル主演。

いよいよ本日から!当日券もございます。チケットなど詳しい情報はこちらから。

【企画・脚本・演出】豊原功補 【原案】三遊亭圓朝「鶴殺疾刃庖刀」 / 古今亭志ん生「後家安とその妹」 【出演】毎熊克哉 芋生 悠 / 森岡 龍 広山詞葉 足立 理 新名基浩 / 福島マリコ 塚原大助 / 古山憲太郎 豊原功補 【公演日程】2019 年 5 月 25 日(土)~6 月 4 日(火) 【劇場】紀伊國屋ホール (〒163-8636東京都新宿区新宿3-17-7紀伊國屋書店新宿本店4F TEL:03-3354-0141) 【チケット】一般:¥7,800 U-22:¥3,000(前売・当日共/指定)

【あらすじ】
元御家人の後家安とその妹のお藤。後家安はヤクザ紛いの放蕩三昧、一方お藤は大名に見初められ側室に。 御家人を追われた恨みを腹に持つ、年若い兄妹に翻弄される人々の運命はいかに...。