皆さんは日比谷公園、そして、その中にある日比谷野外音楽堂に行ったことがあるだろうか。
日比谷公園は都心の中にある大きな大きな公園で、噴水もあれば、池もあり、テニスコートもあれば、レストランもある。銀座や有楽町、丸の内界隈でショッピングや映画を楽しむ合間に来る人も入れば、まわりのオフィスで働く人が息抜きに立ち寄る場合もあるだろう。
そして、その中に位置する野外音楽堂(通称・野音)は、たくさんのアーティストがこれまでライブを行っている。シンポジウムなどが行われる場合もある。アーティストとして活動する方々がライブをしたいと思う、武道館と並ぶ聖地だ。
初代・大草直子編集長時代、ミモレは野音だったな、と思う。大草直子というビッグアーティストを楽しみに、どこからともなくファンが集まり熱狂しているようなイメージ。編集長となる前の私と言えば、ライブの演出方法を考えながら、タイムキープ、会場の安全性の確保、予算管理、機材屋さんとの交渉……などなど(こう書くと苦手な作業ばっかりだ)。ライブに集まった皆様が最大限に楽しんでいただけるような動きを心がけていたように思う。そして、なんといってもビッグアーティストのライブをいちばん近くで見られるという高揚感は、かなりスペシャルな経験だったと思う。
そして、昨年、ミモレが3周年を迎えた年に私は編集長になった。私自身は舞台にあがるようなアーティストではない。さて、どうするか。
そこで思ったのがミモレを野音ではなく、日比谷公園にしたいということだった。
いや、その言い方は正確ではない。数日前に行った咲子との対談途中(後日公開予定)で「そうか、私は公園がつくりたかったんだ!」とハッとしたのである。
誰がステージにあがっても、誰が運営しても変わらない、ミモレをサステナブルなブランドにするための「公園=場所」がつくりたかったのだ。
人気アーティストのライブを楽しみに、あるいは社会派なシンポジウムに参加するしようと野音に訪れる人がいる。それをとりまく公園には自己鍛錬のためにジョギングをしている人もいれば、座って空を見てるだけの人、そこでたまたま出会った人と談笑する人もいる。そして、公園に落ちているゴミを拾う人もいるのかもしれない。公園の緑化のために花を植えている人もいる。そして、その人に向かって「お花、キレイですね」と声をかける人もいるだろう。
元気なときも、落ち込んだ時も、どんな時だって、なぜだか自然と足が向かう。誰に対してもオープンで、出入り自由。そこですべきことを何も強要されることなく、過ごす方法はその人の思うままに。
編集長である私は、そんな公園の風景をいちばん楽しく眺めている呑気な管理人のような存在に。そんなサイトをつくりたかったんだ、と思う。
すいません、今頃ハッキリ言葉にできた。
脳内BGM/walk in the park(唄:安室奈美恵)
〜明日へ続く〜
今日のお品書き
日々の配信記事本数がなかなか安定しなかったミモレのオープン時、平日の週5日コンテンツを書いてくれたのが下田さん。私と大草ディレクターの『ヴァンテーヌ』編集部時代に副編集長だった下田さんが後輩の私たちのためにひと肌脱いでくれた連載でした(ご本人はそうおっしゃいませんが、絶対にそうであったと思っています)。まさに、「ミモレの良心」とも言える連載『インテリアの小さなアイデア』。本日、最終回を迎えます。この最後の原稿を受け取った日曜日の昼下がり、晴れ渡る空の向こうに富士山が見えるカフェで涙ぐみながら読みました。私たちへの下田さんの温かいエールをぜひ受け止めていただければ嬉しいです。
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