4年ちょっとのミモレの運営を通し、結局いちばん大切にしていたことは何だったのか。

ミモレ運営をするために、ひとつのお手本として観察していた『ほぼ日』。そちらで糸井重里さんがオススメされていた一冊の本。その帯に糸井さんが寄せた「最大の戦略とは正直であること?!」というコピー。

先が見えない不安定な日本社会。どこへ向かうのか。どこへ向かうべきなのかを問うた、実験データに裏付けされた社会心理学の良書。「安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方


インターネットを通して誰もがつながれる今の時代。嘘はすぐに誰かに見抜かれてしまう。どんなに公平な意見だと私が考えていることも、いろいろな意見が溢れているネットの世界ではそうとは限らない。私の発言が誰かの勇気になりえる可能性もあるけれど、誰かを傷つける可能性だってある。

さらに、どんなことにも自分より知識がある人がたくさんいる。知ったかぶりをしたり、無理をしたりしても、まったくもって意味がない。時に自分の小ささにガッカリして、思いっきり背伸びをしたくなったこともあるけれど、できるだけ地面にしっかり踵もつけて。

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「ミモレに掲載されるとたくさんモノが売れるんですよ」と言っていただけることが多く、それは褒め言葉として受け止めた。もちろんメディアを運営する以上は反響があるという嬉しさはあったけれど、同時にそれは怖さでもあった。発信する情報が誰かの行動を引き起こす。その責任の重さがいつでも私にのしかかっていた。それはミモレスタッフ全員、各自が思っていることだとも思う。

誰かを欺いて、いちばん落ち込むのも、いちばん傷つくのも、最終的には自分。

「バズれば勝ち」のPV戦争に飲み込まれずに。ミモレの思いが届いた方の生活に、そして人生に、ほんの少しでも意味があるものになれるよう。親友に接するように親身に。とにかく真摯にコツコツと。

正直は最大の戦略である。

「どうしたらミモレのようなサイトをつくれるのですか」と聞かれたことも多かったけれど、それが私の4年ちょっとのミモレでの答えだ。

正直者がバカを見ない世の中になりますように! 

脳内BGM/今宵の月のように(唄:エレファントカシマシ)

〜明日へ続く〜