静岡県の沼津で雑貨と器の店「hal」を営み、多くのファンを持つ後藤由紀子さん。著書『50歳からのおしゃれを探して』では、“50歳からのおしゃれの壁の乗り越え方”を綴っています。40代に入った頃から感じていた、さまざまな変化や不調に向き合って見出した、50代の自分に似合うおしゃれとは? 大人世代のおしゃれの迷走期の抜け出し方の教えてもらいました。

後藤由紀子さん:静岡県沼津市で器と雑貨の店「hal」を営む。暮らしの中で自分が心から「いい」と思った物のみを店に並べる。2人の子どもは成人し、子育ても一段落。暮らしの工夫や気づきを綴った飾らないエッセイが好評。『後藤さん、今日はどちらへ? 地元の暮らし』(大和出版)など著書多数。Instagram:@gotoyukikodesu ワンピース/fog linen work(halオリジナル)


後藤さんが「服が似合わない」と感じ始めたのは40歳になったころ。明らかに体が丸くなり、中年太りコースへと突入したとき。それまでずっとSサイズを着ていたジョンスメドレーのニットのサイズアップを余儀なくされたそうです。そこからは徐々に、それまでは似合っていたものにどんどん違和感を覚えるように。そこから自身のおしゃれを見直すようになったそうです。
 

後藤さんのおしゃれの見直し①
重いものにさようなら


以前なら「おしゃれは我慢!」と思っていたものも、年齢を重ね、体力も衰え、無理ができなくなってきたそう。「奮発して買ったトレンチコートや、生地のしっかりした高級コートも、肩こりがひどくなって、着る回数がへっていった」そう。そして、バッグも重いものは持ち歩かなくなり、「薄手の布もの・軽めの籠・ナイロン素材などにシフト」。
 

後藤さんのおしゃれの見直し②
着なくなったものは手放す

 

似合わない服は、フリーマーケットを開催し、潔く手放していったそう。「手放す時は、自分の老化や体型の変化に向き合った結果でもあるので、悲しい気持ちに」なったそうですが、その分、「『自分に似合う洋服だけがあるクローゼット』になり、必要なものが明確なった」と言います。
 

後藤さんのおしゃれの見直し③
ワンピース班長になる

 

これまでボーダカットソーや無地Tシャツに膝丈スカートやパンツを合わせたスタイルが、普段着たっだという後藤さん。どちらも似合わなくなり、好んで着るようになったのが、ワンピース。たどり着いたのは、ウエストマークしたデザインで上質な素材、開襟で袖付きのワンピースなんだとか。ウエストマークされているとすっきり見え、上質な素材で襟と袖があるデザインは「きちんとした印象になり、人と会う時にも重宝する」と気づいたと言います。
 

おしゃれの見直し④
そうだ、先輩に聞いてみよう


40代でおしゃれのマイナーチェンジをした結果、「大事なのは流行に乗ることではなく、『自分らしい装いを心から楽しみ、毎日を気分よく過ごす』ことだと気づいた」といいます。実はマイナーチェンジしている中で、「もう着る物なんてなんだっていいよ」と投げやりになることもあったそうですが、そんなときに自分らしく素敵に装った年上の先輩女性たちの姿が頭に浮かんだそう。おばちゃんではあるけれど、おばちゃん臭くなるのは嫌だと思い、
素敵な先輩女性たちを訪ねてまわることにしたんだそう。

『50歳からのおしゃれを探して』では、後藤さんが憧れる素敵な先輩女性たちへのインタビューも掲載されています。十人十色の装い方やファッション観は、おしゃれの新しい扉を開いてくれるはず。

『50歳からのおしゃれを探して』

著者 後藤由紀子 1628円KADOKAWA刊

素敵な暮らしぶりやそのセンスに定評がある後藤由紀子さんですが、40歳を過たころから生き方とともにファッションも見直したいと考えるように。そんな中で50歳オーバーの素敵なおしゃれの先輩たちを取材し、“大人のおしゃれ”について考えていきます。また後藤さん自身のおしゃれの変化や問題点、そしていまの自分にフィットするおしゃれについて、素直な言葉で綴られた、年齢を重ねることで生まれるおしゃれの問題点を、前向きに考えられる1冊になっています。

撮影/白川青史