腸を元気にする「HOPE」とは?
Keiko 腸が不調になっていることに気づいていない人もいるでしょうね。
山崎 分かりやすく便秘とかお腹が張るとかではなく、お腹の症状以外の症状が出ることってあるんですよ。それが腸からきているとは思っていない人は、多いかもしれないですね。
Keiko たとえばどういう症状が?
山崎 お肌の不調はもちろん、落ち込みやすかったりイライラしたりというのも腸からきている場合もあったりします。
Keiko 調が整ったら気持ちも落ち着いた、ということもあるんですね。腸はどうやって整えればいいのでしょう?
山崎 私がよくお話しているのが、「HOPE」なんですね。「H」はハイ ファイバー、つまり食物繊維です。「O」は良質のオイル。とくにオメガ3系脂肪酸は体内で作ることができないので、意識的に摂ってほしいんです。グラスフェッドバター(ストレスのない放し飼い状態で育った乳牛から作られたバターのこと)はエネルギー源として優れている中鎖脂肪酸、短鎖脂肪酸の割合が高いんですけど、私はグラスフェッドバターから水分や乳糖、タンパク質を取り除いた「オーガニックギー」を愛用しています。
Keiko 私もギー、勧められて買ったんですけど、どう食べたらいいのか分からなくて。
山崎 私はコーヒーに溶かして、バターコーヒーにして毎朝飲んでいますよ。
Keiko へえ〜、美味しそう。やってみますね。
山崎 そして「P」がプレバイオティクスとプロバイオティクス、腸内細菌の善玉菌のエサになるもの、あるいは生きた菌ですね。「E」がエンザイムで、消化吸収を助ける酵素です。患者さんには、ベーシックにまずはこの4つを意識してください、とお話しています。
Keiko プレバイオティクス、プロバイオティクスというのは、たとえばどういう食品かしら?
山崎 身近なもので言うと、味噌や醤油、納豆やチーズといった発酵食品です。ですが私がお勧めしているのは乳酸菌の精製エキス。これは元々ある自分の乳酸菌を増やしてくれるものです。生きた乳酸菌ではないんですけど、今は生きた菌じゃなくても善玉菌のエサになるし、悪玉菌の増殖を抑えてくれたりする、ということが分かってきているんです。
Keiko 乳酸菌といえばヨーグルトをイメージするんですけど、ヨーグルトって良いという先生と悪いという先生に分かれるじゃないですか。まいこ先生はどちらのお考えで?
山崎 私は、伝統的に作られた昔ながらの製法のものなら良いと思っています。だから市販品のヨーグルトは基本的に嗜好品だと思ってくださいね、とお伝えするようにしています。なぜかと言うと、市販のヨーグルトは糖質が多く、血糖値を急激に上げるなど体への負荷が強いですから。
Keiko お味噌も、市販のものって全然腐らないし、本当に発酵しているのかなと思いますよね。
山崎 パッケージに空気穴が開いてるものなら、まだ良いと思うんですけど。ヨーグルトも、「生きた菌がお腹に効く」と言われていますけど、人間に有用な働きをする多くの乳酸菌は酸素があると生きられないんですよ。でも真空で売られているヨーグルトってないじゃないですか? だから腸内環境を研究している先生たちは皆、「絶対死んでいるよね」と言っています。
Keiko えー!
山崎 死んでいてもいいんですよ。菌の死骸も悪くはありませんから。でも本気で腸内環境に良いものを選ぶなら、発酵食品に限らず何でもこだわって選んだほうがいいと思います。
Keiko やっぱり良いものは手間暇かかっているということですよね。
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