米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。

1982年版
2014年版 Columbia Pictures / Photofest / ゼータイメージ

有名なミュージカルなのに今まで観たことがなかった『アニー』。1982年版の映画と2014年のリメイク版がパックになったDVDがリリースされたタイミングで観比べをしてみました。
大恐慌後のニューヨークが舞台だった旧作のほうは、もともとのブロードウェイの舞台の雰囲気があって、子どもたちのアスリートみたいな踊りや、感情を伝える歌唱力も本格的。かわいそうな境遇にいながらも前向きに頑張るアニーの健気さも、とてもよく伝わってきました。
彼女たちをいじめるミス・ハニガンの遠慮のなさも、思わず圧倒されるほど。劇中の楽曲は『Tomorrow』しか知らなかったのですが、親しみやすいミュージカルとしても楽しめました。

 

リメイク版の『ANNIE/アニー』の舞台は現代のニューヨーク。旧作でクリスマス休暇を一緒に過ごす孤児を探していた大富豪は、市長選に立候補している携帯電話会社のCEOへとアレンジされています。
SNSを使うシーンなども出てきて、同じ話を現代的にアップデート。あのアニーがこんなふうになるんだ!という面白さを味わえました。

いい意味での暗さがある旧作と、きれいにいい話としてまとまっている現代版。ミュージカルに親しんでいない人が観るには、現代版のほうが入りやすいかもしれませんね。どちらが自分の好みか、観比べてみるのも楽しいと思います。

『アニー』
日本でもおなじみのブロードウェイミュージカル『アニー』。巨匠、ジョン・ヒューストン監督が映画化した1982年版と、現代に舞台をおきかえて映画化した2014年のリメイク版、2本を収録したパック。

取材・文/細谷美香
このページは、女性誌「FRaU」(2015年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。