「母と娘」がテーマのフィクション作品と聞いて、私が最初に思い浮かべたのは、この二つ。映画『ブラック・スワン

(プリマバレリーナになりたくてれなかった母の妄執が娘を追いつめ、「母親の狂気が密かに娘に乗り移っていくところが恐ろしい」と映画ライターの♪akiraさんも)

もうひとつは、綿矢りささんの小説『夢を与える

(母の望み通りに芸能界で成功した娘に、"私はこんなにあなたたちのために尽くしているのに"と言うシーンは、「身近にも聞くセリフ」と紀伊国屋書店の小出さん)

どちらも、自分の夢を娘に託す“ステージママ”の重圧を描いた作品でした。

ミモレ読者の方にぜひ読んでいただきたいのは、彩瀬まるさんの小説『あのひとは蜘蛛を潰せない』です。

 

この作品は、典型的な“しんどい母”と暮らす独身28歳の娘が、母という鳥かごから抜け出すの物語なのですが、「母を単なる悪役として書き捨ててないところがよい作品だと思います」と紀伊國屋書店の小出さんも分析されているように、単純に切り捨てることもできない現実と娘の葛藤がリアルに描かれていながら、根底に優しさが感じられるところが、私もとても好きです。

実はこの作品、2013年に「第1回フラウ文芸大賞」の新人賞を受賞しているんですね。選考委員から「期待の新人作家」と評されていた彩瀬まるさん。続く2014年の「第2回フラウ文芸大賞」には、『神様のケーキを頬ばるまで

 

 が大賞候補作にノミネート。最新作『桜の下で待っている』は、まもなく発売になる8月号に掲載の「第3回フラウ文芸大賞」の大賞候補作にノミネートされています。(フラウはどんだけ彩瀬まるさんを推すんじゃい!と突っ込みたくなるほどの大プッシュぶり!)
はたして第3回の大賞は……? 候補作品はFRaUのサイトでも公開中です。7月10日発売の8月号をぜひチェックしてみてください☆