「FRaU」7月号で担当した特集「映画・小説・マンガで読み解く『母と娘のカンケイ』」より、特にミモレ読者の皆さんにもオススメの作品を抜粋して紹介したいと思います。

 

この企画では、4人の選者の方(翻訳家の青木悦子さん、映画ライターの♪akiraさん、マンガライターの門倉紫麻さん、紀伊國屋書店新宿本店の小出和代さん)に作品を推薦&分析してもらいました。母と娘のカンケイを描いた本やマンガ、映画は昔からたくさんあります。最近の傾向について選者の意見が一致していたのは、「“母も人間、母も女”として描かれることが多くなった」ということ。

現在、映画公開中で話題の『海街diary』(吉田秋生)も、メインは三姉妹と腹違いの妹との関係ではありますが、原作マンガでは、「家を出た母を尊敬できなかった長女が、子どものような母を許していく過程」も見どころのひとつ。

映画では、長女を綾瀬はるかさん、家を出た母を大竹しのぶさんが演じていて、二人の口喧嘩のシーンも見応えがあります!

今回の企画でいろいろと読んだ中で、私個人的に一番ハマったのがこちら。

 

『たそがれたかこ』(入江喜和)です。主人公のたかこは母と暮らすバツイチ45歳。母には苛立ち、元夫と暮らす娘の力になれないことをふがいなく思うたかこ。ある日ラジオの向こうの声に“恋”をして……というお話です。「母であり娘であるという役割をまっとうし続けるには、母でも娘でもないひとりの女である時間を持つことが必要なのかも」とマンガライターの門倉さん。コミックは現在4巻まで出ています。
 

海外作品では、恋愛に奔放な母親や、母の結婚前の秘密を探る話などは昔からたくさんありますね。前田敦子さんがインタビューで挙げてくれた『マンマ・ミーア』も、3人の父親候補を巡って母が女だったころを娘が知るお話。

日本の母娘のあり方も「母は無条件に母性に満ちた生き物でなくてはならない」という幻想や、「母に清廉潔白で慈愛に満ちた"聖母"を求め、母を許せない自分を息苦しく感じてしまう」関係から解放され、変わってきているのかもしれませんね。

その他の本やマンガをFRaUのサイトでもご紹介していますので、ぜひ見てみてください。次回は【小説・映画編】をアップしたいと思います。