個性派女優として活躍し続けている室井滋さん。ユーモア溢れる観察力から繰り出されるエッセイも好評です。その室井さんが、この9月に、女旅の珍道中を綴ったエッセイ本『ヤットコスットコ女旅』を発売。面白おかしい旅エピソードとともに、中高年からの女旅の楽しみ方についても教えていいただきました!

 
 

室井滋
富山県生まれ。女優。早稲田大学在学中の1981年に映画『風の歌を聴け』でデビュー。映画『居酒屋ゆうれい』『のど自慢』などで多くの映画賞を受賞。2012年日本喜劇人大賞特別賞、2015年松尾芸能賞テレビ部門優秀賞を受賞。ディズニー映画『ファインディング・ニモ』『ファインディング・ドリー』日本語版のドリーの吹替えなど声の出演も多い。また絵本『しげちゃん』シリーズや、自身が絵も手がけたてぬぐいあそび絵本『ピトトト トン よ~』、エッセイ集『むかつくぜ!』『東京バカッ花』『おばさんの金棒』『すっぴん魂』シリーズなど電子書籍化含め著書多数。全国各地でしげちゃん一座絵本ライブを開催中。楽曲「ウィルスのチャチャチャ」「室井滋のてぬぐいあそび ピトトト トン よ~」を日本コロムビア、iTunes、レコチョクほかで配信中。

 


30代後半からが女の旅適齢期よ!


アポなしロケやヒッチハイク旅で人気を博した『進め!電波少年』『雷波少年』(日本テレビ)に始まり、様々な旅番組への出演、映画やドラマのロケ、また絵本ライブの全国行脚で、有名どころから僻地まで、ありとあらゆる土地を訪れてきた女優の室井滋さん。プライベートでも大の旅好きで、その道中に起こった出来事を面白おかしくまとめた旅エッセイ連載も持っています。

「国内に至っては、行ったことがないところはないくらい旅しましたね。長い時間と労力をかけて行った場所で出会った人や味って、生涯忘れないんです。年齢を重ねると失っていくものも多いけど、旅はそれを補って余りある感動と、思い出の貯金をもたらしてくれる。とくに30代後半を過ぎたら、旅をしないともったいない! お金の余裕も出てくるし、大人になっていろいろ物事を楽しめるようになるし、体もまだ元気だし、一番充実した旅ができる時期ですから。この時代に旅をして経験と思い出を増やすと、その後の人生が劇的に豊かになりますよ」

ネットよりも自分の足で探した情報が一番


そこで“女旅”のスペシャリストとも言える室井さんに、女旅の楽しみ方のコツを教えていただきました。

「今ってインターネット時代で、皆さん、自分が行く場所についてよく調べてらっしゃいますよね。でもネットがなかった時代を過ごしてきた私からすると、あんまり準備万端に決めこみ過ぎている旅って面白くない。現地に行ってから、自分の足で調査して観て食べて、とやらないと、本物は得られない気がしちゃうんですよね」

 

そして先日室井さんは、まさに“本物”に出会う旅体験をしたそう。

「ある番組で、『室井さんの行きたいところに行きましょう』って言われて、広島の尾道を希望したんですね。尾道と言えばラーメンが有名でしょう? 食べたいと思ったんだけど、今ってラーメン人気だからどこのお店も行列で。それで一緒にお仕事させていただいた役所の人に、『美味しくてすぐ入れるところはない?』と聞いたら、『一楽』という、狭〜い路地にある中華屋さんに連れて行ってくれたんです。これが死ぬかと思うくらい美味しくて! しかもここはハーフサイズがあるから、2、3種類の味を楽しめるの。梅大根ラーメンなんて最高だったわよ。あまりに感動したから翌日も行こうとしたんだけど、時間がなくて都合で行けなくて……」

そう無念がっていたところ、何とその直後に再び尾道を訪れる機会が訪れたそう。早速「一楽」に予約を入れ、今度は冷やし梅大根ラーメンを堪能。翌日の絵本ライブでその喜びを話したところ……。

「会場のお客さんから、『一楽、知ってるよー!』という声が返ってきたんです。それで私、嬉しくなっちゃって、他の広島グルメについても話したのね。『“すずめ”ってラーメン屋も美味しかったんだけど、なくなっちゃったのよね〜』とか。そうしたらまた『知ってるー!』って。さらに『今は“めじろ”って名前でやってるよ〜』という声が返ってきたんです。……こういうことなんですよ、旅って! その土地に足を運ばないと生まれないネットワークと情報がある。まさに、旅の醍醐味を感じた瞬間でしたね」

 
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