【坂井真紀】40代で出産、二度目の人生を歩んでいる気持ち_img0
 

サヤカの「デート」をめぐる食卓の場面には続きがあります。サヤカが戻った後も食卓に残った両親は「デートだって」と呟いて、微笑み合います。そしてしばらく何も言わず、もくもくと食事を続けーーふと、坂井さん演じる母親が「えらいなあ」と呟きます。するともうしばらくして、滝藤さん演じる父親が「えらいなあ」とポツリと応じます。ふたりはその会話の前に、テレビが映す犬の番組をジーっと見ていたサヤカの姿を、視界の端でとらえているのです。その、重くもなく軽くもなく、小さなことだけどすごく大切な場面に、坂井さんの女優としてのあり方が垣間見えます。

「普通に生きたいなっていうのはずっと忘れずにいました。普通の日常生活の中で、五感を通じてきちんと感じ、生活していなければ、普通の人間なんて演じられないですし、そういう生き様を背負ったお芝居ができるような女優さんになりたいなと思っています。どんな職業でもそうだと思いますが、”生きざま”って隠しても見えてしまうものじゃないかなと。そういう意味では、子育てを経験したことで、また新しい、生き様の引き出しができたかもしれません。やりたいことや挑戦したいことは、年代によってずいぶん変わってきてるんですが、『まぼろし』のシャーロット・ランプリングを目指したい(笑)50代のリアルなにおいを出せる女優になりたいです」

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坂井真紀 1970年生まれ、東京都出身。1992年に女優デビュー後、1996年に『ユーリ』で映画デビュー。『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』(08)で第18回日本映画批評家大賞助演女優賞、第23回高崎映画祭特別賞を受賞。近年の主な出演映画に『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16)、『友罪』(18) 、『惡の華』(19)などがある。『108~海馬五郎の復讐と冒険~』『ブラック校則』が年内に公開予定。2020年は『はるヲうるひと』などの出演作が控えている。

<映画紹介>
『駅までの道をおしえて』
10月18日(金)より全国公開


愛犬の帰りを待ち続ける少女と、先立った息子との再会を願う老人。ひとりぼっちの2人が出会い、大事な何かを探す旅に出る——。逢いたい相手がいるすべての人に贈る、新たな希望と出発の物語。いつも一緒だった愛犬のルーの帰りを8歳のサヤカはいつまでも待っていた。ある夏の終わり、サヤカは一匹の犬に導かれ、喫茶店のマスター・フセ老人と出会う。彼もまた、大きな喪失を抱えて独りで生きていた。別れを受け入れられない2人は、互いのさびしさに寄り添ううちに、思いがけない友情で結ばれていく......。1 年半、共に暮らしながら撮影に臨んだ、犬と少女の成長物語。

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©2019 映画「駅までの道をおしえて」production committee

主人公のサヤカを演じるのは、米津玄師がプロデュースした「パプリカ」を歌うユニット Foorin の最年少メンバーとしてブレイク中の新津ちせ。サヤカの友人となるフセ老人役には、笈田ヨシ。その他、サヤカの両親に坂井真紀と滝藤賢一、伯父夫婦にマキタスポーツと羽田美智子、祖父母に塩見三省と市毛良枝、医療関係者に柄本明と余貴美子が扮し、あたた
かくヒロインを見守る。また 10 年後のサヤカを有村架純がモノローグ(声)で表現している。

出演:新津ちせ 有村架純/坂井真紀  滝藤賢一  羽田美智子  マキタスポーツ/余 貴美子 柄本明/市毛良枝 塩見三省/笈田ヨシ
原作:伊集院静「駅までの道をおしえて」(講談社文庫)
脚色・監督:橋本直樹
主題歌:「ここ」コトリンゴ
企画・製作:GUM、ウィルコ
配給・宣伝:キュー・テック
公式サイト:https://ekimadenomichi.com/

撮影/横山順子
スタイリング/梅山弘子(kiki inc.)
ヘア&メイク/ナライユミ
取材・文/渥美志保
構成/川端里恵(編集部)
 
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