火曜日の午前中に病室に行くと、昨日からもう自然排尿ができなく管が入っている状態でした。「こんな状態ではもう私としては生きていく意味がない、早く死にたい」が最初の挨拶です。
「とても冷たい牛乳が飲みたい」と言われて早速売店で買ってくると、一杯のマグカップを飲み干して「もう一杯」。
ただ、痰の絡みがひどく、もう手足は腫れ上がっています。

 

以前、チベット仏教のラマから聞いたように、父の手を取って心の中で、「Let him go,let him go --どうか安らかに父を逝かせてあげてください」と祈りました。
「午後、ランチの後でまた来ますからね」と伝えて病室を出る私に「冷たいお水を持ってきて」と声をかけられました。

午後、約束通りに水筒に氷水を持って行った時には、すでに亡くなっていました。

まさしく、希望通りに死を迎えたようです。
これもラマから言われたことですが、死を間近にしている人を前にして泣き叫んだりしてはいけない、と。多くの人は誰もいないときに静かに逝くものだそうです。

私への個人的な言葉は全くありませんでしたが、それも 父らしい。「悪いことはしない、人に迷惑をかけない、あとは自分の考えで、自分の好きなことをする。ただし、自分で決めたことは最後まで、自分で責任を持って最善を尽くして行うこと」とだけ言われて育ってきた私に、父はもう何も言うことがなかったのだろう、といい方に考えるしかありません。

老人介護が世界中の問題になっていますが、人間としての尊厳や本人の希望がもっと考えられること、そしてその希望を家族がきちんと受け止めることが必要だと、父の死を通じて強く感じました。

素晴らしい秋空に、たくさんの赤とんぼが飛び回っている、美しい午後でした。

父の死 ~Let him go _img0
父の愛した青空

 

熊倉正子さんがインスタライブに出演決定!

10月25日(金)20時〜、熊倉さんにミモレのインスタライブに出演してもらうことになりました。つきましては、皆さんから質問を募集したいと思います。
こちらの記事のコメント欄に記入して頂いても大丈夫です。

締め切り:10月24日(木)11:59まで

前回記事「【20年春夏コレクション】私的注目ファッション&ブランド8選」はこちら>>

 
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