妊娠をして、あれよあれよと6ヶ月が過ぎようとしている。
妊娠以来、ずっと気がかりなことがあった。「どうやって報告をしようか」。

 

家族や、すでに子供を持った友人などへの報告は、折を見てすればいいのだが、同じ状況にあった友人や、ある時期には子供を望んでいたかもしれないけれど、今はお二人の生活をしていらっしゃるご夫婦……
他人の幸せを煩わしく思ってしまう私ほど、皆、心が汚れていないことは重々解っていても、少なからず、心にざわつきを起こさせてしまうのではないか、と想像して、軽々しく言えないでいた。

かといって、産まれるまで隠すのも、間違った気遣い。いつか、どこかのタイミングで言わないといけない。というより、言いたかった。

 

ある二人の、大切な友人へ、私は手紙で報告することにした。
大切な友人であるからこそ、きちんと伝えたかったのである。

「子供が欲しい!」と思って始めた不妊治療のはずが、いつからか、子供がいない人生の心の準備ばかりしていたこと、
そんな折に、妊娠して、しばらく、嬉しい!よりも、複雑な気持ちが占めていたこと、ある本をきっかけに、気持ちが少し、楽しみの方へ傾いたこと。
この数カ月の、自分の心境の浮き沈みを、ただ連ねた「報告書」になってしまった。

が、しばらくして、どちらからも、お手紙を頂いた。
それは、お祝いのメッセージと共に、妊娠報告に少なからず心が掴まれたことや、ご自身のこと、はたまた全然違う話まで、思いのままに筆を走らせたような、長いお手紙だった。

顔を合わせて話した訳ではないけれど、正直な胸の内を、お互いに少しずつ分かち合ったような感覚が、そこにはあった。

これが、正しいやり方だったのかどうかは、わからない。
友人たちが、私より数倍も大人で、稚拙な報告を、寛大に受け止めてくれたに違いないことに感謝しつつ、私の中で、出産準備の、大切な一つをクリアできたような気持ちでいっぱいになった。


*読者のみなさまへ。
このブログを、楽しみに、また共感の思いで読んでいただいている読者の方々にも、どのような形で、どのようなタイミングでお伝えするべきか、と悩んだ挙句、ご報告が遅れましたご無礼、お許しくださいませ。

 

◯今日の「本」。
写真家の主人の師匠が撮った、家族の写真。モデルもシチュエーションもいいわけだから、素敵でないわけがない、と、ずっと思っていたけれど、ここへ来て、もう一度見返してみると、そこに写っているものは、飾り気のない、ありふれた”家族の風景”。この本をきっかけに、子供のいる人生が楽しみに感じられるようになったのだから、やっぱりこの本は、いい本なのだと思う。
『上田義彦写真集 at Home』

写真:白石和弘