自由の森学園という学校の名前を耳にしたことはあるでしょうか? 埼玉県飯能市の山の中に、35年前に設立された中高一貫校です。
この学校の卒業生として知られるのが、ミュージシャン・俳優として大活躍中の星野源。彼自身、インタビューなどで触れていることもたびたびですが、その名の通り校則や制服や成績表もなく、ひとりひとりの「個」を大切に育むことを教育理念とする自由の森学園で、のびのびと演劇や音楽に打ち込んだ体験が、今の星野源を育んだことは間違いないでしょう。
星野源だけでなく、浜野謙太(ミュージシャン・俳優)、ハナレグミ(ミュージシャン)、吉岡秀隆(俳優)、辻川幸一郎(映像作家)など、数々のアーティストやクリエイターを輩出していることからも、この学校の自由な感性を育む教育が窺えます。
もうひとつ、この学校を全国的に有名にしている存在。それが、学食です。この学食、学校創立時に「本当に安全でおいしいものを我が子に食べさせたい」という思いから、生徒の父母たち自身が運営をスタートさせたというユニークな経緯を持ちます。
使うのは、厳選した生産者やメーカーから仕入れる有機無農薬栽培の野菜やお米、伝統製法で作られた余計な添加物を含まない調味料、菜種100%一番搾りの油など。大量調理の現場ではありえないような理想を実現した「奇跡の食堂」は、全国の食育関係者から注目を集め、視察や取材が絶えることありません。
といっても、メニュー自体は、カレーやスパゲッティ、鶏のから揚げやクリームシチューといった、定番の家庭料理ばかり。けれど、この味が恋しくて、家族を連れてお昼ごはんを食べに訪れる卒業生の姿もたびたび見られるほど。
ごくふつうの家庭料理を「奇跡の味」にしているのは、学食にしては贅沢な食材だけではありません。ここではなんと、昆布や削り節を使って毎日だしをとり、天然酵母でパンを焼き、うどんも手打ち。梅干しやジャムなどの保存食も手作り。スタッフは「当り前のことをやっているだけよ」と笑いますが、その手間が「ふつうのお家ごはん」を特別にしているのです。
“You are what you eat.(あなたは食べたものでできている)”という言葉がありますが、こんなごはんを毎日食べることが、6年間の日々を通して生徒たちの心身を豊かに育んでいることは想像に難くありません。
そんな特別な家庭料理のレシピをひとつ、ここでご紹介。自由の森学園の生徒たちにも大人気のハヤシライスです。
家庭で作れる絶品の味! ハヤシライス
材料(4人分)
●ブラウンルウ
バター…大さじ3
薄力粉…大さじ4と1/2
たまねぎ…2個
牛ばら薄切り肉…400g
マッシュルーム…4個
菜種油…少々
トマトピューレ…大さじ2と1/2
水…カップ3
ローリエ…1枚
きび砂糖…大さじ1
赤ワイン…小さじ2
ご飯…適量
A
トマトケチャップ…大さじ2
ウスターソース…大さじ1と1/2
塩…大さじ1/2
こしょう…少々
作り方
① ブラウンルウを作る。鍋にバターを入れて中火にかけ、溶けたら薄力粉をふるい入れる。茶褐色になるまで弱火で15分ほど炒め、火からおろす。
② たまねぎは縦に4等分し、横にスライスする。牛肉は食べやすい大きさに切る。マッシュルームは縦にスライスする。
③ 鍋に油を熱し、たまねぎを入れて弱火でしんなりするまで炒める。
④ トマトピューレを加えてさらに炒め、酸味をとばす。
⑤ ②の牛肉とマッシュルームを加えて炒める。
⑥ 分量の水を加え、ローリエを加えて煮る。あくが出たら除く。
⑦ 煮立ったら、Aを加え、さらに①のブラウンルウを煮汁で溶きながら加える。
⑧ 砂糖を小鍋に入れ、砂糖がしめるくらいの少量の水(分量外)で煮溶かしてカラメルソースを作り、⑦に加える。仕上げに赤ワインを加える。
⑨ 皿にご飯を盛り、⑧をかける。
ふつうの家庭料理をレベルアップさせるPOINT
じっくり炒めたブラウンルウや、砂糖を焦がして作るカラメルソースが、味を複雑にするための隠し味です。
また、精製度が低くミネラル豊富なきび砂糖、有機トマト使用・無添加のトマトピューレやトマトケチャップなどの食材を使うのもポイント。
『日本一の「ふつうの家ごはん」
自由の森学園の学食レシピ』
1300円(税別)/講談社
ここでご紹介したハヤシライスの他にも、ハンバーグやから揚げ、クリームシチューといった家庭料理の定番から、保存食やおやつまで、自由の森学園学食の人気の50のレシピを初公開するのが『日本一の「ふつうの家ごはん」 自由の森学園の学食レシピ』。じゃがいもをゆでるのではなく蒸して作るポテトサラダ、スパイスの空煎りから始めるカレーライスなど、「ふつうの家ごはん」も、ちょっとしたひと手間と食材選びで、まったく違ったものに変わる!という発見があるはず。
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