ヤフーは傘下にジャパンネット銀行を擁しており、金融ビジネスのインフラも持っています。一方、LINEもITを駆使して利用者に融資サービスを提供する新しい事業を計画していました。両社が一体となれば、銀行を凌駕する個人向け金融サービスを開発することも難しくはないでしょう。

 

ソフトバンクのスマホを1本契約するだけで、LINEで友達とやり取りし、ヤフーでニュースをチェックして、ヤフーショッピングで買い物を行い、LINE MUSICで聞き放題の音楽を楽しみ、お金が足りなくなったら融資までしてくれる。近い将来、こうした生活が実現する可能性が高まっていますし、ソフトバンクグループが狙っているのはまさにこうしたビジネスです。

当然ですが、利用者は便利になる一方、多くの個人情報が気付かないうちに事業者に吸い上げられてしまいます。また、生活の大部分を特定の会社に握られてしまいますから、他社のサービスがよいと思っても、乗り換えるのは容易ではありません。つまり、今回の経営統合は利用者にとってメリットとデメリットの両方があるわけですが、仮に他社のサービスを使ったとしても、大きな違いは生じないと思った方がよさそうです。

なぜなら、今回の経営統合をきっかけに国内ネット・サービスの集約化がさらに進む可能性が高いからです。

ライバル企業である楽天は主力のEC事業に加え、銀行、証券など金融機関をグループ内に抱えていますし、暫定的とはいえ今年10月から携帯電話事業への新規参入を果たしており、ソフトバンクグループに近い業態となる可能性が高まってきました。
日本のネット利用者の大半は、最終的には、アマゾンを中心とした外資系のサービス、ソフトバンクグループのサービス、楽天グループのサービスのいずれかに集約されることになるでしょう。
 

前回記事「使った人は絶賛。アマゾン「置き配」は日本でも定着するか」はこちら>>

 
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