観る者を幸せにする“ハマりプロ”は「ドン・キホーテ」!

海外のプレスも注目しているという「ドン・キホーテ」。音楽が鳴り始めるや、一気にキトリとバジルの世界に観る者を引き込む!写真:田村翔/アフロスポーツ

その魅力を書き出すせばきりがないが、なんといっても、いちばんは、ふたりの豊かな表情とジュニアらしい表現力。特に西山選手は、“観られるの、大好き。踊るの、大好き”オーラ全開。

 

全日本ジュニアのリズムダンスでも、練習では少し緊張気味に見えたのに、音楽が鳴り始めるや、一転、表情がやわらかく。
今季は、リズムダンスもフリーダンスも、ジュニアのいましか演じられないであろう、初々しさはじけるプログラム。特に、フリーダンスの「ドン・キホーテ」。
フランスの世界チャンピオン、ガブリエラ・パパダキス/ギヨーム・シゼロンの指導もしているロマン・アグノエルが振り付けたこのプログラムは、いまの彼らにぴったりです。

ほんとうに幸せそうに氷上を舞うキトリとバジルがいて、気づけば、観ているこちらも彼らの結婚を祝福するかのように笑顔になって。解説者の言葉を借りれば、“アブソリュートリー・チャーミング”なのです。

フィギュアスケートに限らず、どんな競技も、若手とベテランが切磋琢磨してこそ、強くなる。来季、シニアには、小松原美里/ティム・コレト組に加え、村元哉中/高橋大輔組も参戦。いやがうえにも注目度が増すので、ふたりのモチベーションもさらにあがるはず。ペアやアイスダンスも強くなってこそ、フィギュアスケート文化も成熟する。吉田選手には、これからも西山選手をリードして!?、アイスダンスを大いに盛り上げていってほしいものです。

文/齋藤優子 写真/アフロ