この夏から秋にかけて短期集中連載で紹介していた、英国王室キャサリン妃研究家・にしぐち瑞穂さんによるキャサリン妃、メーガン妃の英国ロイヤルファッション。大好評にお応えして、今回から週2回のレギュラー連載になります!初回は、長く女性アナウンサーのスタイリストとしての経験をもつにしぐちさんが、なぜキャサリン妃に魅了され、8年間も追い続けているのか? キャサリン妃のファッションが人々に愛され、注目される理由を紐解きます。
私が常々思っているのは、その国の女性像を象徴するのが"女子アナ"。英国では、自立したかなり大人の女性がボディコンでニュースを仕切り、フランスでは胸を大きく開けたセクシーな女性が司会を。
一方我が国日本では、若さやバランス、毒がない女性が人気です。
20年以上、日本で”女子アナ“の皆さんのスタイリストというお仕事をさせて頂いています。一方で、なぜ私自身の好みとは真逆の、コンサバスタイルを軸とする女子アナのスタイリングがこんなに楽しいのか、不思議に思っていました。
その疑問が解けたのは、キャサリン妃のおかげ。
そして私がキャサリン妃スタイルに関心を抱いたことも、至って自然であったのです。
というのも、女子アナ同様、プリンセスもその国を代表する女性であると同時に、時代の象徴。決して多くを語らないプリンセスにとってファッションは「無言で語る」、いわば知性の表れともなりうるものなのです。
プリンセスと女子アナのスタイルに共通して重要なのがTPO。
要は、頭を使った(使うべき)ファッションであるということです。
キャサリン妃のTPOが考え尽くされたファッションをいくつかご紹介していきましょう。
ブルーのワンピース/ザラ 黒のノーカラージャケット/ラルフ・ローレン 黒のウェッジソール/L.K.ベネット
2011年のロイヤルウェディング翌日のキャサリン妃には、衝撃を受けました。
プリンセスとしてのいわば初日。世界中が注目する中、ザラのワンピースに着回しのラルフ・ローレンのジャケットという出で立ちであらわれたのです。
私なら、間違いなく一世一代くらいの気合いを入れるはず(笑)。
謙虚をPRするべく値段は多少は控えめにしたとしても、少なくとも欲しくて我慢していたドレスを着るでしょう。
そんな自分は間違ってもプリンセスに相応しくない、と実感しますが(笑)。
ヌードカラーのワンピース/リース 黒のクラッチ/アニヤ・ハインドマーチ
そして2度目の登場は初公務。米国オバマ前大統領夫妻の訪英に際し、パレスで初対面。その時のファッションは、いわゆる英国のOL向けブランド、リースのヌードカラーのワンピース。3万円にも満たないお手頃価格のドレスに、当時、英国民と同様、私も再びビックリ。加えて、控えめなカラー選びに感動も。
中流の一般家庭から王室に嫁ぐというシンデレラストーリー、そして新人ロイヤルとしての謙虚な姿勢が感じられ、国民の心を鷲掴みにしたのでした。
この直後、同じワンピースを求める女性が続出し、一瞬にして店からは在庫が消えたのです。まさにキャサリン妃が英国王室のファッションアイコンとなった瞬間でした。
ツイードジャケット/ジョセフ 白のシフォンドレス/リース ヌードカラーのクラッチ&パンプス/L.K.ベネット
その後も競馬の祭典「エプソン・ダービー」では、初々しい白とヌードカラーという、若々しくナチュラルなカラーコーデを披露。ジャケットはジョセフ、ワンピースは再びリース。クラッチとパンプスも、のちにキャサリン妃の鉄板アイテムとなるヌードカラーのL.K.ベネット。
親近感の湧くハイストリートブランド選びに加え、この時のワンピースは後日着回しもされるなど、倹約家としても称賛の声を集めます。
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