老後のために夫婦で話しておくべき資産形成の方法【投資教育のプロ・野尻哲史さん】_img0
 

――生活費を節約しすぎたり、資産運用を頑張りすぎたりすることなく、3つのバランスが大事ですね。

 

野尻:僕は、節約が大嫌いでして(笑)、「欲しいものや良いものは買ったらいい」って思うんです。でも、買うからにはちゃんと使ってほしいですけどね。冷蔵庫に大量に食材を買って、腐らせるのはもったいないことだと思いますし。

節約型が嫌いな方は、「収入から先に資産形成の分を引いて、残りを生活費にする」がいいんです。これなら節約をしなくて済みます。

× (収入)- (消費)=資産形成・貯蓄  →節約するので辛い
○  (収入)-(資産形成・貯蓄)=生活費 →節約をしなくていい

――いわゆる「先取り貯蓄」ですね。お金をあるだけ使い切っても、貯蓄が確保されているので気が楽になる。私(西山)自身も、節約を考えずに済む貯蓄法を伝えたいといつも思っています。

野尻:そうですよね。お金のプロに「節約しましょう」なんて言われると、つらくなるだけですから。40代のみなさんには、ぜひ節約型ではない方法でお金を貯めてほしいです。

――資産収入を夫婦で増やす際のコツはありますか?

野尻:油断せずにしっかり資産形成できるよう、資産口座をお互いの監視のもとに進めることが大事です。今まで口座が別々だった夫婦なら、自分のお金をのぞかれている感じがあって嫌かもしれませんが(笑)。

ちなみに我が家では、家計管理ソフトのマネーフォワード MEを使っています。妻が私名義の口座のお金を使うと私がすべて把握できるんです。「これ、何に使ったの?」と何気なく聞くと、ちょっと嫌みたい(笑)。僕に特に悪気はないけれど、「なんでそんなこと言わなきゃいけないの?」と思われてしまいますよね。

とはいえ、お互いのお金の状況が見られると、多少の抑制効果はあると思います。せっかくですから、こういう家計管理ソフトやアプリを使うと便利ですよね。

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――お金の話は、日本ではまだまだタブーな空気だと感じますが、海外ではいかがでしょうか。

野尻:海外ではお金の話をよくするなんて聞きますけど、そうとも限らないですよ。数年前にロンドンに出張に行ったときに、「人前でお金について話すな」なんて話題が出ていたのが印象的でした。

「日本人は金融リテラシーが低い」といわれますが、そうでもないと思う。金融知識は欧米人より少ないかもしれないけど、金融リテラシーを「生活力」ということでとらえれば、日本人は貯蓄もしているし、保険にもしっかり入っているし、何かしらの行動に移しています。外国では、保険などで備えていない人もたくさんいますから。

とはいえ、お金についてはたくさんの経験値が必要。実際に経験していくことが大事だと思っています。
ぜひ夫婦で「生活コスト」「勤労収入」「資産形成」の3つについて話し合って、実行に移していってほしいです。
 

文/西山美紀
撮影/山本遼
構成/片岡千晶(編集部)


 

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