40代になった今の心境は「好きにさせてほしい」
今年41歳になった長谷川さん。多くの女性は年齢を重ねるにつれて、「もう歳だから」と自信をなくし、色気やセクシーな部分を隠す方向に向かってしまいます。が、長谷川さんの写真集からは、40代だからこそ出せる美しさがある、というメッセージを強く感じ、勇気をもらえます。
「実はそれが一番伝えたいことでもあって。年齢を重ねると、自分に自信がなくなるというより、『まわりが受け入れてくれないんじゃないか』と思ってしまうんですよね。
『そんなことはない!』とは私もまだ実感できていませんし、『やっぱり男性は若い子が好きじゃん』みたいなこともまだまだ多いですから、自分が何を変えられるかも分からないのですが、歳とっちゃったものはしょうがない! だから前向きにいきたいですよね」
40代に入ってからしみじみ感じ始めたことは、「人生って本当に1回しかないんだな」ということだそう。
「最近は1年が過ぎるのが早過ぎて、ああ、この人生すぐ終わるなって思うんですよ。ならば一度きりの人生、自分をあえて抑える必要は本当にないな、と思って。何より、そんな時代じゃないとも思うんですよね。若い世代の人たちのほうが、そういう時代の空気をちゃんと吸っている気がします。
私たちの世代は40代になったら女性として相手にされないと思っているし、たしかに同世代の男性はそんなものかもしれないですけど、若い世代ってまた価値観が違ってきていると思うんですよね。だから私たちぐらいまでの世代が一番生き辛いのかもしれない、概念に捉われてしまっていて。女性は勝手に限界を作っているし、男性も勝手に女性へのイメージを作っている。でもこの写真集が、それは違うよねって思ってもらえるきっかけの一つになったら嬉しいです」
それは、年齢に負けたくないとか、若さ崇拝社会へ抗いたいとか、そういった気持ちともまた違うと言います。
「というより、好きにさせてほしい、という感じ(笑)。先頭に立って抗っていこう!という力の入った気持ちはなくて、『放っといて』というのが正確なところですね。『40代はこうなんだ』『若い世代はこうあるべきだ』というのではなくて、何だっていいじゃない、好きにさせてよってみんなが思えれば、年齢に概念で縛られることも少なくなるのかな、と。完全になくなることは絶対にないでしょうけど、ちょっとずつ減るといいなとは思いますよね」
バカにされているんじゃないかと
不安だった20代、30代を経て……
20代の頃から女優として評価を得てきた長谷川さんですが、意外にも自分に自信を持てるようになったのは40代に入った頃からだったそう。
「私の場合は、自分を何かで固めていないと不安でたまらなかった20代30代を経て、今があるんですね。
とくに20代の頃は、何か一つの分野に知識があるとか、そういったことで自分のブランドを作っていかないと、まわりは自分のことをバカにするんじゃないかと思っていました。そうやって外側に作っていたものが、経験の積み重ねでちゃんと自分の体の中に入っていったから、外の何かで取り繕う必要がなくなった。私はそれが40代というものなのかな、と思っています。
だから今は、自分をある程度あけすけに見せてもブレない。ウィークポイントも見えるかもしれないけど、それも自分だからしょうがないなってフンワリいられるのが、40代女性ゆえの色気だなとも思っているんです」
そんな長谷川さんに、今後の人生をどう歩みたいと思っているのかも聞いてみると……。
「分からないんですよね。今まさに分からないんです。何か見えそうだから待っている、という感じかもしれません。でも目標なんていくらでも変わっていいと思っているから、とりあえずこの写真集が出た後にどう進むか、一回考えたいと思っています。自分自身は自分のことを見慣れているから、どういう評価になるのか、どういう方たちに見ていただけるのか、全く見当がつかないので、それが楽しみであり、不安でもあり。
今回、リリー・フランキーさんに帯メッセージをいただいているんですけど、そこで『女盛りである』と言ってくださっていて。それは私がということじゃなくて、私たちの世代がそうだということだと思うので、そのメッセージが皆さんの心に響いてくれたら嬉しいなって思っています」
『Just as a flower』
(宝島社)
16年ぶりとなる写真集は、日本を代表する写真家・沢渡朔氏とタッグを組み「すべてをさらけ出した」という渾身の1冊。「家庭がありながら出会ってしまった不可抗力な恋愛」というテーマのもと、セクシーな水着姿や、美しい背中、胸元を大胆に披露。そこからは、41歳になった今だからこそ放てる匂い立つような色気が漂ってくる。
構成/片岡千晶(編集部)
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