両親と大学生の子ども、そして中学生の子ども、という4人家族の場合、世帯年収が約270万円未満の場合にのみ満額の支援を受けることが可能です。270〜300万円の場合には金額は3分の2に、300〜380万円の場合には3分の1と急激に支援額が小さくなります。今回の無償化政策は、主に生活が苦しい世帯を対象としたものと考えればよいでしょう。

 

給付型奨学金(返済の義務がない奨学金)については、学生が学業に専念できるようにするための措置で、国公立と私立、学校の種類、自宅生かどうか、などで違いがあります。私立大学に自宅外から通っている学生の場合、最大で、最大で91万円の支援を受けることができます(国公立で自宅から通っている場合には約35万です)。

 

奨学金についても、授業料免除と同様の年収基準があり、全額支給を受けるため条件は年収270万円未満となっています。学生本人についても要件があり、出席率が5割以下、取得単位数が標準の5割以下になった場合には支援が打ち切られます。単位数が標準の6割以下、あるいは成績が下位4分の1以下といった条件に抵触した場合には、大学側が警告を行うことになっています。これに加えて経営状態が危険水準にある大学についても支援の対象外となるケースがありますから注意が必要です。

高校無償化と高等教育無償化は、支援対象に条件が付きますが、家計にとってはプラスの材料です。一方、現在支給されている児童手当については一部削減の方向性で議論が進んでいます。

現在、中学生までの児童・生徒を持つ世帯には児童手当が支給されています。金額は、3歳未満の場合には月あたり1万5000円、3歳以降、小学生や中学生は1万円(第3子以降は1万5000円)となっています。この制度には所得制限があり、夫婦と子どもの世帯の場合には年収960万円未満が支給条件です(ただし、特定措置として960万円以上の世帯に対しても月5000円の特例支給が行われています)。

しかし、政府内部では所得が高い世帯の児童手当は廃止する方向性で議論が進んでおり、場合によってはこれが廃止される可能性があります。浮いた財源は待機児童対策に充てることが検討されていますから、高額所得者の人は、待機児童対策に貢献すると思って、この分については納得するしかなさそうです。

今回の各種支援策は低所得者に重点が置かれており、中間層にはそれほど大きな恩恵はありません。教育費は年々上昇していますから、各家庭レベルで工夫が必要なのは言うまでもありません。

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