皆さん、「壁ドン」ムービーはご覧になったことありますか? 人気少女マンガが原作になっている、福士蒼汰君やら松坂桃李君やらがドンっと女子に迫っている胸キュン映画です。「若い子の観る映画でしょう」「娘・息子の世代の話だわ」と思われるかもしれないのですが、この数年の邦画の一大ジャンルとしてヒットを量産中。人気を支えているのは女子中高生だけでなく、大人の女性たちも夢中になっているからなのです。

(FRaU8月号「ヒット量産には理由あり“壁ドン”ムービー!」より。イラスト/黒猫まな子)

そんな壁ドンムービーのヒットの秘密と大人女性もハマるわけを分析する企画を担当しました。

何を隠そうこの私が、胸キュン映画を支える大人女子の一人なのです。ええ、ええ、『アオハライド』も『ストロボエッジ』も一人で映画館に観に行きましたさ。学割料金の制服女子たちに囲まれながら、生ビールを片手にキュンキュンするのも楽しいものです。

企画を執筆いただいたのは、日テレ『PON!』の映画コーナーなどでお馴染みの映画ライター新谷里映さん。なぜ大人が壁ドンムービーにハマってしまうのか、新谷さんの分析によると、「壁ドン」や「顎クイ」という名前がブームになるずっと前から、少女マンガでは定番のシチュエーション。少女マンガに夢中になった女子たちも年を重ねるにつれ、結婚、出産、仕事など現実的なものに興味がシフト、胸キュンとは遠ざかっていきます。しかし、現実を知ってしまったゆえの現実逃避、お疲れ気味の女性たちの癒しとなってくれたのが、松潤を皮切りに、岡田将生、向井理、松坂桃李、佐藤健、山﨑賢人、山下智久、福士蒼汰、大倉忠義、東出昌大……と旬な実力俳優が主演する直球の恋愛映画「壁ドン」ムービーなのです。

さらに壁ドンの進化系として「床ドン」

(『娚の一生』でお目見えした豊川悦司の大人な床ドン)

 「袖クル」

(『ストロボエッジ』の萌シーン。彼から借りたトレーナーの袖を後ろからまくってくれるというだけなのですが……)

「なろ抱き」

(「あすなろ白書」からその名がついた“後ろから抱きしめられる”の憧れシチュエーション)

などなど、映画界もさらなるヒットを生み出そうと、今後も『ピース オブ ケイク』『ヒロイン失格』『先輩と彼女』『orange』と人気少女マンガの映画化がゾクゾク控えています。このブームまだまだ続きそう。
「照れくさ~い」「こんなの絶対ないからっ」なんて表向きは平静を装いながらもキュンキュンする、というのが正しい大人の鑑賞法です。