米倉涼子さんが見た、最新のおすすめエンタメ情報をお届けします。
二十歳のときくらいからずっと、スポーツカーの世界に惹かれてきました。
フォルムや運転するときの感覚に魅了されて、マスタングに乗っていたこともあります。扱いやすいというよりも、じゃじゃ馬のような車が大好きなんですよね。世界一愛する車、コブラの生みの親、キャロル・シェルビーの映画が公開されていると知って、映画館に行って来ました。
『フォードVSフェラーリ』は好きな車がたくさん出てくる、私にとっては垂涎ものの1本! どの車も全部同じように見える……、という女の人でも、この映画に描かれている男の友情にはグッとくるんじゃないかな、と思います。
60年代、元レーサーでカー・デザイナーのキャロル・シェルビーの元にアメリカ最大の自動車メーカー、フォードから持ち込まれた依頼は、イタリアのフェラーリをル・マン24時間耐久レースで打ち負かすこと。シェルビーは天才肌で喧嘩っ早いドライバー、ケン・マイルズをチームに入れて、ともにミッションを乗り越えていきます。
エンジンの回転数を上げる、車体をもっと軽くするなどの技術的な努力が描かれるとともに、勝手なことを言ってくる大企業の偉い人たちとのやりとりも描かれています。
いくつもの裏切りや駆け引きもあるけれど、実際に運転して体力とテクニックが要求される過酷なレースを乗り切るのは、最終的にはドライバーたちなわけですよね。レースのシーンはまるで、宇宙船の中を体感させてくれたライアン・ゴズリングの『ファースト・マン』の車バージョン!
よくぞここまで臨場感あふれるシーンが撮れたな、と感激しました。
心臓病でレーサーの夢を諦めてデザイナーになったシェルビーと、レーサーとしての夢にすべてをかけてしまう型破りなマイルズ。マット・デイモンとクリスチャン・ベイルという正反対の個性を持つ役者が、すごくキャラクターにハマっていました。ふたりだけのつながりに胸を熱くしながら、久しぶりに男のドラマを観た! という満足感に浸れたおすすめの1本です。
『フォードvsフェラーリ』
1960年代半ば、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード社から、当時ル・マン24時間レースで6連覇中の王者・フェラーリに勝てる車を作ってほしいという依頼を受けたのは、元レーサーのカー・デザイナー、キャロル・シェルビー(マット・デイモン)。型破りなドライバー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)をチームに招き、その困難な任務に挑む。実話を映画化し、作品賞他、2020年度アカデミー賞4部門にノミネートされている。
大ヒット公開中 ©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
構成/片岡千晶(編集部)
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