新型コロナウイルスの流行で、各国政府や医療関係者らが対応に追われています。ますますグローバル化した世界で、しかもよりにもよって中国人が大移動をする春節の前での感染発覚。武漢がもう少し早く情報を開示していて春節の前に危機感が共有されていればと悔やまれますが、その後も各国政府は様々な対策を講じています。
私が住んでいるシンガポールでは、中華系が人口の74%を占め、中国とのかかわりも深いために春節での感染に対する危機感は強かったと思われます。幼稚園や学校は1月24日ごろから春節の休みに入りましたが、政府が発信する情報を受けて土日も幼稚園や学校から頻繁に連絡が入りました。
教育機関等では、2週間以内に中国(全土)から帰国した人は先生も生徒も、帰国後14日間は出勤・通学をしないことが義務付けられ、また企業に対しても中国出張を控えることや、中国からの帰国者にはテレワークを推奨するなどの措置がとられました。私の娘が通うローカル幼稚園では春節の期間どこに滞在していたかを申告するように言われ、中国以外でもシンガポール国外に出た人については、その週内は自宅待機することになりました。
現在、米国の大学などでは新型コロナウイルスを巡ってアジア系学生への差別が起きていると報道されています。しかし、シンガポールではもともとアジアで中華系がメインであることに加え、こうした政府の対応があったことで、保護者も学生自身もある程度安心して通学・通園ができたのではないかと思います。
医療機関についても、武漢渡航歴や濃厚接触など新型コロナ感染の疑いがある人に対応する病院を早くから指定し、その移動手段として専用の救急車を依頼できる電話番号を広報していました。その後中国渡航歴がある人はトランジットも含めてシンガポールに入国できない措置が取られていますが、問題発覚当初の流入を防ぐことができなかったため、一定の感染者は出てしまっています。今後の動向についても見守っていく必要があると思います。
驚いたのは、シンガポール政府のマスクへの対応です。日本人は花粉症などもあり、予防のためにマスクをする文化が浸透していると思いますが、シンガポールでは普段はあまりマスクをしている人を見ません。ところが、さすがに今回はドラッグストアに行っても売り切れが続出。一時期は街中を歩く人の半分程度がマスクをしているのを見ました。
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