米倉涼子さんが見た、最新のおすすめエンタメ情報をお届けします。
今回は、先日のアカデミー賞でブラッド・ピットが助演男優賞を受賞した『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を紹介します。タランティーノの映画をすべて観ているわけではないのですが、殴りはじめるとノンストップ！ なバイオレンスシーンには監督らしさが出ているのかな！？ 圧倒されつつも、すごすぎて笑ってしまうようなユーモアが感じられる作品でした。
舞台となっているのは、1969年のロサンゼルス。レオナルド・ディカプリオが演じているのは、西部劇のドラマで人気を博したものの今は落ち目の中年俳優、リック・ダルトン。ブラピは、リックの専属スタントマン、クリフを演じています。リックはすぐにメソメソと弱音を吐くちょっと情けないタイプで、顔がむくんでいる日も（笑）。ディカプリオってこんな風に自虐的でダサい役を演じられる俳優なんだ！ と新たな発見がありました。
元兵士で腕っ節の強いクリフを演じているブラピは、もうひたすらかっこよかった！ トレーラーハウスで一緒に暮らしている愛犬にドッグフードをあげるだけで、ワクワクさせてくれるような魅力があるんですよね。リックを慰めるとき、アクションをするとき、ヒッピーが住むカルトな村に向かうとき、そして人を殴るとき。いつも飄々と淡々としているところが最高にかっこいい。屋根の上で鍛え上げた上半身を見せてくれるシーンまであって、やっぱりブラピはスターだなぁ、とうれしくなっちゃいました。男ふたりでリックの出演作を観るシーンにはバディムービーの楽しさもあって、おじさんふたりのかわいい笑顔を見ているだけで幸せな気分になります。
テレビと映画、どちらの業界に進むのか悩んだり、プロデューサー（演じているのは、私の大好きなアル・パチーノ！）に思いをぶつけたり、同じ世界で生きている人間として興味深いシーンもたくさん登場します。ブルース・リーをはじめ、当時実際に活躍していた俳優や監督たちの物語が描かれるのも、この映画のおもしろさ。私にもっと知識があればさらに楽しめたのかなとも思いますが、古きよき時代の映画の雰囲気をたっぷりと味わうことができました。
ピークを過ぎたテレビ俳優、リック・ダルトン（レオナルド・ディカプリオ）、そしてリックを支える付き人兼スタントマン、そして親友でもあるクリフ・ブース（ブラッド・ピット）。俳優として生き残るためにストレスを抱え情緒不安定なリックと、いつもマイペースなクリフは、落ちぶれていく一方だが、ある日、二人の住居の隣に時代の寵児、ロマン・ポランスキー監督と若き女優、シャロン・テートが引っ越してくる。
そして1969年8月９日、映画界を震撼させる事件が起こる。
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構成／片岡千晶（編集部）
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