これまたニコラに完全にノックアウトされてしまった私。今年のバレンタインデー限定ガトーはココナッツとリ・オ・レ、ミルクチョコレートとプラリネのコラボレーション。素晴らしい作品。シェフに敬礼(ドアラさん風にビシィッ!と)

ニコラが新作のバレンタイン限定ガトーをブティックに持ってきた。その場に居る誰もが無言になる。社長のピエールが口火を切り、色が足りない!と始めると、マダムも心配を隠せなくなった様子。―ね、ココナッツとリ・オ・レって、、、どうなのかしら。全然バレンタインデーっぽくないわよね。第一、リ・オ・レって、人気の無いデザートの代名詞だし、、、。ガラス張りのラボからは、パティシエ達が心配そうにこちらを伺っているではないか。

試作の段階で、ここまでダメ出しされるシェフを見た事がない。確かに茶色、ベージュ、白の濃淡は、ファッションのコーディネートでは定番とも言えるが、10cm四方にも満たない小さな面積のパティスリーでは、ショーケースの中でぼやけてお客様の目を引かない。

ミルクチョコレートの中にはリ・オ・レと呼ばれるフランスの伝統的デザート、バニラとココナッツ風味のライスプディングとアーモンドのプラリネがたっぷり。

余計なデコレーションや色粉を使いたくない、素材そのものの色が一番美しいのだ、と考える芸術家・ニコラの哲学が、そうは言っても売って行かなきゃならないからね、というビジネスマン・ピエールの意見と対立した。さあ、どうするシェフ!

私は私で、ふと、バレンタインのハートが、必ずしも赤でなくても良いんじゃないかな?と思った。そもそも誰がハートは赤だと決めたんだ。白いハートやレインボーカラーのハートなんかがあっても良いし、マーブル状やストライプなんてのもありえるよ。愛の形が千差万別であるように、ハートの色だって色々だよね、シェフ。

散々ダメ出しされた後に試食会。又もや沈黙の一瞬、、、
―シェフ!これ、物凄く美味しい!その場に居る全員が完全にノックアウトされ、シェフは鼻高々に笑顔になった。はい、シェフの勝ち!

通勤途中、偶然目にしたハートモチーフの落書き、イイネ!

バレンタイン当日、お客様の反応がどう出るか。さぁ、ここからは私達ブティックの出番だ。シェフ、任せておいて!少なくとも、私、ハートは何色だって、思いっきりロマンチックでスウィートになれるんだって事、身をもって知っているからね。

即興で名入れサービスを閃いたシェフ。わざと手彫り風のの歪なアルファベットで、恋人達のイニシアルを受け付けている。こちらはジャン=フランソワとベアトリス。