――ということは、更年期にさしかかる女性は誰しも高血圧になる可能性がある、ということでしょうか。

もちろん個人差はあります。ただ、閉経前と閉経後の年代で高血圧の発症率を見ると、閉経後の年代では、発症率に男女差が見られないんです。
高血圧というと男性の病気というイメージが強いと思いますが、月経が収束する年齢においては、女性も男性と同じくらい高血圧になりやすいのです。
しかも閉経後は血圧のコントロールが男性より難しく、女性の方がクスリも効きづらいことがわかっています。
これも女性ホルモンの話と関係してくるのですが、更年期を境に突然、高血圧になる女性は、若年の時からずっと血圧高めできた男性より、血管の柔軟性を取り戻す代償機転(調節機能)がききにくい。
また、NOは腎臓の塩分排出を促進する働きもあるのですが、女性ホルモンの減少によってNOの分泌が少なくなると、男性と同じだけの塩分を摂取しても塩分が外に出されず体内に溜まっていくので、血圧が上がりやすくなってしまうのです。これが原因で、降圧薬に反応しない体質になる可能性もあります。

 

――女であるだけで、高血圧から逃れられないような気持ちになってきました(泣)。

そんなことないですよ! ただこの年代の女性は皆さん、子育てや仕事で忙しいですよね。介護がはじまっている方もいるでしょう。しかも「血圧高め」と言われたところで症状はないですから、つい自分のケアは後回しにしがちです。
ただ、これは強く言いたいですが、子育てにしろ介護にしろお仕事にしろ、皆さんの健康あってこそ。とはいえ医療機関に通うのは大変だと思うので、できることからはじめていただきたいと思います。
今夜からできる血圧リセット術の中でも特におすすめしたいのが、「お風呂」。
湯船に浸かるだけで血圧ダウン効果が2倍も得られるというデータもあります。41℃のお湯に10分間浸かるのがベストです。
時間がない中でも、なんとか入浴時間を確保してもらいたいですね。

 
 

『座り方、食べ方、眠り方で下がる!血圧リセット術』
著者:市原淳弘(世界文化社/税込1650円)


イラストと図解満載で、血圧とそのリセット法がわかる一冊。「我慢」ではなく「続けられる」方法で血圧を下げる知識が詰まっています。

 


構成/小泉なつみ

第2回「【血圧専門医】「血圧高め」をリセットする体内ガス「NO」を増やして血圧ダウン!」は4月5日公開予定です。

 
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