血圧ダウンの鍵は、いかに「NO(エヌ・オー)」をたくさん生み出すか


手軽にできる方法としては、「鼻呼吸」もいいですね。ストレスを感じた時にはぜひやってみてください。
鼻呼吸は口呼吸よりも酸素をたくさん取り入れることができます。深く鼻呼吸することで副交感神経が優位になるだけでなく、血管拡張作用のある「NO(エヌ・オー)」こと一酸化窒素を肺から産み出すことにも繋がり、血圧を抑える効果があるんです。
また、今は猫背になってパソコンや携帯画面を凝視する人が多いですが、これも血圧のことを考えると、決してよろしくありません。

【閉経後高血圧】デスクで血圧を下げる「4つのリセット術」と鍵を握る「体内ガス」の正体とは_img0
 

意識して胸を張り、ふんぞり返って社長ずわりするようなイメージで座るといいかもしれません。わたしが一番好きな血圧リセット術ですね(笑)。
更年期になると、女性ホルモンの減少によって血圧が不安定になります。高血圧のリスクを減らすためにも、このような血圧リセット術を早めに行うのと同時に、血圧測定を習慣にされることをおすすめします。

 


――市原先生のお話ではじめて「NO」について知りました。血圧ダウンに欠かせないのが「NO」という物質なんですね。

NOの働きを発見したアメリカのルイス・J・イグナロ教授は、その功績によってノーベル生理学医学賞を受賞したくらいですから、まさに世紀の大発見です。高血圧治療を語る上で今後、絶対に欠かせない単語でしょう。
そして血圧をリセットする鍵も、とにかくこのNOを体内でできるだけ多く産出することにつきます。
私は血管の救世主と呼んでいますが、NOを増やすには、多くの酸素を体に取り込むことが先決です。そのための鼻呼吸であり散歩であり貧乏ゆすりなんですね。
さらにNOは血管の柔軟性を改善するだけでなく、ウイルスに打ち勝つ免疫力のサポートをしたり、腸内環境を整えたりと、身体にとっていい働きをいろいろしてくれますから、積極的にNOを産出する心がけをしたいですね。

――実際、市原先生の外来にいらっしゃる4、50代の女性は、どんな症状を訴えていらっしゃるのでしょうか。

症状のない方がほとんどです。ですから皆さん、健康診断で血圧測定をして、「血圧高め」と言われて驚いていらっしゃる感じです。日常生活になにも支障がないからこそ、治療が後回しになりがちなんですね。
原因はさまざまですが、高血圧の患者さんの1割が二次性高血圧といって、単一の別の病気によって高血圧が引き起こされています。二次性高血圧は、治すことができる高血圧です。10人に1人ですから、私は決して少ない数字だとは思いません。そのため、うちの外来では、必ず患者さんにスクリーニング検査をしてもらいます。
そこで二次性高血圧が否定され、複合的な要因の積み重ねで高血圧とわかったなら、すぐにクスリではなく、ご紹介したようなリセット術を中心とした生活習慣の改善で、血圧が自然に落ち着いていく、あるいはさらに上がることがないようにしていっているんです。

【閉経後高血圧】デスクで血圧を下げる「4つのリセット術」と鍵を握る「体内ガス」の正体とは_img1
 

『座り方、食べ方、眠り方で下がる!血圧リセット術』
著者:市原淳弘(世界文化社/税込1650円)


イラストと図解満載で、血圧とそのリセット法がわかる一冊。「我慢」ではなく「続けられる」方法で血圧を下げる知識が詰まっています。

 


構成/小泉なつみ

第1回「【血圧専門医】更年期女性は高血圧リスク高。血圧リセットの鍵「NO」とは?」はこちら>>

 
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