スタイリスト白幡啓さんと、メイクアップアーティスト菊地美香子さんに、大人世代があか抜けて見えるファッションとメイクの極意を伺う企画、今回は【メイク編】。顔全体に丁寧にファンデーションを塗るのはもう古い!という菊地さんに、大人があか抜けて見えるベースメイクの方法をうかがいました。
大人のニュアンスは「隠す&出す」のバランスにあり!【メイク編】
菊地さん:「街では、ファンデーションを塗りすぎている方をまだまだ見かけます。もう少しベースメイクが薄ければもっと素敵なのに…!って思うことも多々あって」
白幡さん:「私も含め、ファンデーションにコンシーラーを重ね、シミやシワをカバーする“隠す”メイクを教わってきた世代ですから。でもそれってもう古いんですよね?」
菊地さん:「そうそう。昔に比べて、下地もファンデーションも格段に進化しているから、ファンデーションはあえて“部分塗り”でOKな時代なんです」
Q.メイクの思いこみ
ファンデーションは顔全体にムラなく塗るもの、と思っていました。
A.菊地さんの回答
ファンデーションを塗るのは”顔の中央”だけで十分。
その代わり、下地はきっちりと!
塗っていない顔の外側が天然のシェーディングに
塗るのはこの部分だけ
まず下地を薄く均一に顔全体に伸ばします。その後でファンデーションを塗るのは、Tゾーン、鼻と目の下、あごのみ。顔の中の小さな逆三角形の部分に塗るイメージで。リキッドタイプを使って、塗りすぎないように薄ーくのばすのがポイントです。フェイスラインには何も塗らないことで、陰影がつき、天然のシェーディングが出来あがります。
鼻、頬骨…高いところにツヤがあるだけで、立体的で洒落た顔に
実際にモデルにファンデーションを塗っているのも、上記でご紹介した部分だけ。顔の外側を塗らないことで、自然の陰影が生まれます。カーディガン¥13500/フレイ アイディー(フレイ アイディー ルミネ新宿2店) ピアス¥27000/ファリス(エストネーション)
菊地さん:「私たちの服は、昔と比べてものすごくカジュアルになってきているのに、メイクだけは隙がなくきっちりしていると、首から上と下の印象がちぐはぐに見えるんです。私は大人になるほどベースメイクは薄く、と思っているのですが、厚塗りするほど、時間が経てば毛穴の凹凸も強調されるし、肌の透明感も濁ってしまう。大人の女性には、メイク感を悟られないほどのナチュラルな仕上がりが素敵だと思うんです。少しくらいのシミやシワは、大人になれば誰にでもあるもの。肌悩みは隠すのではなく、光感で飛ばすイメージで。
ファンデーションは顔の中央の部分に塗るだけで、フェイスラインは塗らずに、そのまま自然な陰影として活かしてみてください。私たちの顔はいろんな凹凸、骨格で構成されています。この立体感を自然に活かすのが、ファンデーション部分塗りなの。顔にはカバーするエリアと思い切って塗らないエリアがあってOK、そのメリハリが立体感を生むんです。
そして、ベースメイクで最も重要なのが下地!部分塗りするファンデーションとは対照的に、下地は顔全体に薄く均一につけます。気になる毛穴やくすみも光で程よく飛ばしてしまうイメージ。一番のおすすめはパール感あるグロウタイプで、おしゃれなツヤ肌に仕上がります。そうして肌レベルも底上げして、次に使うファンデーションの量は最小限に。今っぽいツヤを作れる化粧品が増えているので、ぜひベースメイクからアップデートしてください」
使用したアイテム
ファンデーション:インテントスキン クリーミィリキッドファンデーション〈102〉
下地を顔全体に仕込むことで、ニュアンスのある肌が作れるので、このひと手間をお忘れなく。下地もファンデーションも、とにかく薄く、塗り過ぎないのがポイントです。
ファンデーションは顔全体に塗るのが当たり前と思っていた方も多いはず。慣れるまでは不安に感じるかもしれませんが、ファッション同様、化粧品もメイク方法も時代とともにアップデートしていきましょう!
次回は「隠す&出す」のニュアンス作りの【ファッション編】。白幡さんが重要視している“首まわり”の見せ方についてレクチャー頂きますのでお楽しみに。
<問い合わせ先>
エストネーション tel. 0120-503-971
セルヴォーク tel. 03-3261-2892
菊地美香子
女性誌、カタログ、広告などを中心に活躍するヘア&メイクアップアーティスト。時代の一歩先をとらえるセンスと、年齢を問わず個性を最大限に生かしながらナチュラルな美へと昇華させるテクニックが支持され、女優、モデルからの指名も多数。2017年より、ナチュラル&オーガニックのビューティブランド「Celvoke(セルヴォーク)」のクリエイティブアドバイザーに就任。奥行きやニュアンスを表現した、絶妙な色と質感の数々は「いきなりお洒落な顔になれる」と大反響。
スタイリング/白幡啓(LOVABLE)
ヘア&メイク/菊地美香子(TRON)
モデル/小濱なつき
取材・文/出原杏子
構成/朏亜希子(編集部)
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白幡啓
1996年よりスタイリストとして活動開始。独自の世界観から生み出される高感度なスタイリングを得意とする。意外性に富んだアプローチと時代を読むセンスで、数多くの女優・モデルからの支持も厚い。女性ファッション誌、広告、アパレルブランドのカタログ、またトークイベントなど、多方面で活躍中。2016年SSシーズンにディレクターとして「styling/」を立ち上げる。