――「どこに投資するか」についての注意点はありますか? 

コロナショックに直面した今が「投資」のチャンスである理由〜経済評論家・山崎元さん_img0
 

山崎:今回感じたのが、特にアメリカの株の下がり方が極端な点です。これまでアメリカの経済は元気で、アメリカの企業は株主に報いる経営をしていました。「世界でビジネスをしているアメリカの株だけ持っていればいい」なんていう人もいました。
でも、このアメリカ株の下がり方を見ていると、どこかの国に偏るのではなく、「世界に幅広く投資するスタンス」がやはりよいと思います。

いずれにしても、相場というのは不確実。不確実ながら、たくさんの投資家が今の株価を作ろうと、高い株価、安い株価、それぞれの理由があって成り立っています。

感情を交えずに、淡々と資産形成をしていくことが大切です。「今はお金を使う時ではない」という方なら、お金があれば投資したらよいのでは、と思います。うまくいけば、安いときにたくさん買えてラッキーだったということになりますから。
 

 

――と思いつつも、「これから相場がもっと下がるのではないか」「悪い材料がどんどん出て、底なしに下がるのでは」と不安になる人も多いようです。

山崎:いつが底値なのか、いつから上がるかといったことは誰にもわかりません。わからないなかでも正解があるとしたら、「自分にとって適切なリスクの金額を、思い立ったときにさくっと投資してしまうこと」ですかね。

仮に損しても、お金で済む話ですから…。そんな、割り切りが投資には必要です。

命にかかわるくらいまでお金を投資したらいけませんが「お金で済む話」と思える金額が、自分にとって適切な金額ともいえます。

コロナショックに直面した今が「投資」のチャンスである理由〜経済評論家・山崎元さん_img1
 

――今回のコロナショックで、夫婦や家族で投資についての意見が割れている家庭もあるようです。投資を全くしていないパートナーから「投資なんかして大丈夫か?」と詰め寄られるケースがあると。

山崎:「長期投資しているから、大丈夫!」と言えばいいと思いますよ。
運用がうまくいかなかった投資会社が「うちは長期投資です。短期で見て一喜一憂せず、長い目でみてください」というのが言い訳の常套句だったりしますから(笑)。

コロナ関連のニュースがたくさん出てきて、相場がどこまでそこに落ちるかわからず、恐怖がMAXになっている可能性はあります。でも、手元に現金が必要な人が、株価が高い低い関係なしに、急いで売っている可能性もあります。つまり、必要以上に投げ売りされているかもしれません。

「この会社の業績はこれくらい」という理由で株価が決まるのではなく、運用会社であれば、「解約請求が来たから、現金を用意しておかなくては」という理由で、適正より低い株価で売らざるを得ない。それがさらに株価の下落要因になっているケースもあります。

その下落につられて、特に現金が必要でない個人が慌てて売るというのは適切ではないでしょう。
 

――急いで現金が必要でなければ、そのまま置いておいてもいい、と。

山崎:そう思います。投資のお金が仮に3分の1に減って、家計が困る場合は、現金化する必要があるかもしれませんが、多くの人は、そうではないはず。

積み立てをしている人ならなおさら、淡々と買っていくことにちょうどいい時期だと思います。
 

撮影/山本遼
取材・文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)


 

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