「お金のプロの方は、お金についてどんなふうに考えているの?どうつきあっているの?」というミモレ編集部の疑問から生まれたインタビュー企画。マネー業界の著名人に「お金について知っておきたいこと」「お金の価値観」についてじっくり伺っていきます。今回ご登場いただくのは、経済評論家の山崎元さん。マネーコラムニストの西山美紀と編集部の片岡がお話を伺いました。

<今回お話を伺ったのは……>

コロナショックは投資の好機でも初心者がやってはいけない3つのこと~経済評論家・山崎元さん_img0
 

山崎元さん
経済評論家。専門は資産運用。楽天証券経済研究所客員研究員。マイベンチマーク代表取締役。1958年北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事、野村投信、メリルリンチ証券など12回の転職を経て、現職。雑誌連載、テレビ出演等で活躍中。著書に『マンガでわかるシンプルで正しいお金の増やし方』(講談社)、『お金で損しないシンプルな真実』(朝日新聞出版)等多数。

 


コロナショックで投資をスタートする人が増えている!


――コロナショックで株価が下がり、逆にネット証券の口座開設が殺到しているとも聞きます。「今から投資を始めよう」という投資初心者に向けて、注意点はありますでしょうか。

山崎元さん(以下敬称略):まず、「初心者向け」「女性向け」といったタイプ別の投資方法などない、ということを頭に入れておいていただきたいですね。運用する金額やどれくらいリスクを取るかが違うだけで、基本的に適切な金融商品が変わることなどありません。

もし、わざわざ変えているとしたら、手数料の高い商品を買ってもらおうとする、金融機関の陰謀だと思ってください(苦笑)。

――これだけ株価が変動するニュースを見ると「どのように考えて行動したらよいかわからない」という声がたくさんあります。

山崎:プロにも、株売買のベストなタイミングはわからないというのが現実です。よく「修行すればわかるようになる」「真実を知っている達人がいる」「富裕層だけが、こっそり教えてもらってよい金融商品を買っている」なんて思われがちですが、決してそんなことはありません。本当に儲かる商品があれば、金融マンが自分で買ってしまって、お客さんまで行き渡らないでしょう(笑)。

――どうしたらいいかわからず、金融機関の窓口に駆け込む人も多いようですね。

山崎:40~50代の読者の方なら、親御さん世代が該当するかもしれませんが、「退職金が入ったので、これをどう運用したらいいか」と、金融機関を訪れるような話をよく聞きます。
金融機関は、基本的に手数料で稼いでいますから、例えば外貨建ての保険を売ろうとするのも、投資信託に比べて、手数料を多く得られるからです。

無料で相談に乗りますというセールスの電話やメールが来て、店舗に行くと豪華な応接室に通され、担当者に囲まれて説得された…というのも、よく聞く話です。「元本割れが心配でしょうから、保険がおすすめです」と、ドル建て保険をすすめられるようなケースが典型的です。ドルでは元本割れしない商品だとしても、為替によって、日本円では元本割れするケースもあるので要注意です。もちろん、実質的な手数料が大きく、「全て」だめな商品です。

しつこく説得されて、なにか決めないと帰れないような雰囲気に追い込まれて、「印鑑を持ってくるのを忘れました!」と嘘をいって、なんとか契約せずに帰ったという知人もいましたね。

――商品のメリットだけでなく、デメリットもしっかり理解していないと危険ですね。

山崎:そうです。金融商品を買う際は、「プロに相談しない」ということが重要です。自分で考えて、理解してから買うことを心がけてほしいです。

それには、店舗に行かず、ネットで買う方がいいでしょう。セールスマンと相対することがないのがネットの最大のメリットです。もちろん、ネットの方が手数料が安い。今なら人が集まる場所にいくと病気の感染リスクがあるので、自宅で完結する方が安心でもあります。

 
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