「好き」が始まる前は「いいところを見よう」と思った



麻子さん:元々、結婚願望は普通にあったんですよ。ただ、それまで付き合った男性が海外で修行中だったり、やっかいな彼女と別れられない二股男性だったり、色々あって……。それまでにも一度出会い系サイトで彼氏ができたことはあったけど、36歳で登録したときは、実は「テニス仲間が欲しいな」くらいの気持ちだったんです。

さかい:マッチングサイト系で知り合うのって、普通の出会いと比べて何か違いはありましたか?

 

麻子さん:うん、それは、全く別物だと思う。まずバックグラウンドも何もかも違う人たちと出会うわけだから、「話題が合ったらラッキー」くらいの気持ちでしたね。お見合いと一緒です、「好き」から始まってないから。まず、「この人のいいところを見よう」と思ってました。

麻子さんが男性のプロフィールで最も重視したのは、学歴や年収、体型などのスペックではなく、「趣味」。

麻子さん:私は〝趣味が人生〟みたいな女なので(笑)。全然知らない人と話すなら、少しくらい共通の話題が合ったほうがいいよな、というのもありました。

某アイドルグループの大ファンでメジャーデビュー前から秋葉原のオタクたちに紛れて地下ライブに通い、フリは完コピ。さらにアニメも音楽も映画も大好きでマニアックなほどの知識を持つ彼女。長年独身でもさみしくなかったのは、趣味が充実していたということもあるようなのですが、相手の趣味のチェックの仕方がまた独特。

麻子さん:私自身が熱狂的なジャイアンツ・ファンなので、野球好きはあえて避けました。違う球団のファンだった場合、「絶対にケンカになるな」と思って。

着目するところが、なんていうか、すでにオタ視点(笑)。

麻子さんのお眼鏡にかなったのが、ひとつ年上の正和さん。マイケル・ジャクソンとレーシング・カー好き、というのが麻子さんとの共通点でした。―ちなみに彼はテニスはやったことがなかったので、交際してから一緒にテニススクールに通ったのだとか。

麻子さん:彼と会う前にもふたり、マッチングした人がいたんですけど実際会ったら合わなくて。でも正和さんは、なんていうか、ほかのふたりとは会ったときから全然違ったんです。銀座で会って映画を観たんですが、その後に軽く食事でも、ってなったとき、私は「有楽町のガード下でいっか」って思ってたのに、彼は「こんなカジュアルなところダメです!」って、連れてって行ってくれたのはよくあるチェーン店でしたが(笑)。だけど気を使ってくれる人なんだなって思って。

2度目のデートは鎌倉へ行き、3度目はなんとディズニーランドへ。

さかい:3度目でディズニーランドって、結構ハードル高くないですか!? 待ち時間が長いから、カップルの絆が試されるとよく聞きますが……。

麻子さん:ですよね〜。私も彼に「3回目でディズニーランドって大丈夫?」って聞いちゃいました。だけどそのとき、マイケル・ジャクソンのキャプテンEOの期間限定再上映がもうすぐ終わっちゃってときだったんですよ。私はそれまでも何十回と観てきたけど(さすがオタク!)、彼は行ったことがなかった。だから教えてあげたら一緒に行くことになって。

どうやら2回目のデートでなんとなく付き合っているような関係になったけれど、詳しく覚えて居ないと麻子さん。

その後、「この人だ」と結婚を決意するまでや、38歳の誕生日にされたロマンティックなプロポーズ、実家での3世帯同居のリアルなどのお話は次回に続きます。

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)

 

前回記事「38歳、「いい子」をやめたら、結婚できた【晩婚さんインタビュー】」はこちら>>

 
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