「外出制限延長」のパリで見えてきたコロナ後の「希望ある社会」_img0
 


マッチングアプリ、SNS、インフルエンサー…、あたらしいトレンド


驚くべきことに、マッチングアプリの利用は大きく増えています。部屋で孤独に過ごす時間が急速に増えたことから、人々が、人との繋がりを求めていることがわかります。たとえ、実際に会うことはできなくても、です。
メッセージのやり取りがうまくいった相手とは、ZoomやSkypeを使ったオンラインデートも始まっています。これに関してはポジティブな意見が多く、実際に会ってみる前にビデオ通話で話した方がお互いのことがよくわかるとユーザーは感じています。ロックダウンが解除されても、このトレンドは続くでしょう。

ほぼ全ての食事を自宅でとることになったことから、自身の料理動画や写真をSNSにアップする人が急増しています。裁縫、編み物、スケッチなどの創作活動をアップする人も増えました。

楽器の演奏や歌などを音楽配信する人も増え、家のベランダからライブ活動を行う人が近隣住民の人気を集め、一躍スターになるケースも出ています。
これらの人々は「ホーム インフルエンサー」と呼ばれ、これまでのインフルエンサーとはまた違った支持を集めています。

SNSではロックダウンより前からあった30 days challenge (30日間何かを継続して行う様子をSNSに投稿すること)ですが、このロックダウンを機に30日間継続してエクササイズや読書などの自己投資を行い、有意義に過ごそうという投稿も多くみられます。

また、このロックダウンの期間に体型を崩さないためのエクササイズや食事のアイデアなどの投稿に対して、フランスのインフルエンサーが自身の少し出たお腹の写真と共に「太ってもいいんだよ」というメッセージを添えた投稿が話題を呼んでいます。

彼女は「もう疲れた。多くの人が毎日死んでいるこんな状況の中、それでも世間は私たちに体型に対するコンプレックスを抱かせたいのでしょうか?こんな時こそ、自分にできることは何か、誰をどんなふうに助けたらいいか、そういう本当に意味のあることに集中すべきでしょう?」とコメントしています。


進むオンライン化。世界はもう「コロナ前」には戻らない


世界中で、これまで通販、動画サービスやオンラインゲームを利用したことがなかった人が、それらの利用を開始しています。コミュニケーションツールやSNSの利用率は激増し、医師の診察、学校の授業も急速にオンライン化が進んでいます。

ほとんどの人が急に自宅からのリモートワークを開始し、多くの時間を家族と過ごすようになりました。それによって引き起こされたDVなどの新たな問題もありますが、家族との時間が増えたことに幸せを感じる人も増えています。

日本でも急速に普及するZoom飲みや、アーティストの自宅からのライブ配信など、多くのことがオンラインで楽しめることを多くの人が知りました。
コロナウイルスの問題が収束しても、もう以前の生活に戻ることはないというのが多くの人の見解ではないでしょうか。

私たちは人類の歴史に残る、大きな変化の時を生きています。この変化に対して誰も抗うことはできず、全員が対応を迫られます。この変化を機に、多くの人が医療機関や農業など、人々の生活を支える職業の重要性を再認識しています。

また、ロックダウンを機にヨーロッパの排気ガスは急激に減少し、観光客の激減したヴェネツィアの運河には魚が戻ったそうです。多くの経済活動がオンラインで行えれば、環境保全との両立が可能ではないかと言う意見もでてきています。

人間が人間らしく生きるために、本当に必要なことは何なのか?
今まさにそこが人類に問われています。排気ガスと騒音が消え、春の香りがするパリの街で、私もその答えを探しています。

前回記事「【パリから報告】今、通販でマスクと除菌グッズ以外に売れているもの」はこちら>>

 
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