子役時代から活躍を見続けてきた役者さんには、つい親戚気分で勝手な親近感を抱いてしまうもの。数々のヒット作に出演してきた神木隆之介さんが、自身と同じ26歳の会社員を演じると聞くと、なんだか不思議な気持ちになる読者の方もいるかもしれません。WOWOWの連続ドラマW『鉄の骨』で演じるのは、中堅建設会社入社4年目の社員、富島平太。不器用なところはあっても建築現場への愛情を胸に実直に働く彼が、“談合部”と揶揄される大口公共事業の受注部署に異動し、葛藤する姿が描かれていきます。

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26歳、揺れるにはちょうどいい年齢


「童顔なので、学生の役もできるところまでやりたいなと思っています(笑)。26歳って、“揺れる”にはちょうどいい年齢だと思うんです。新入社員だと何も知らないから上に巻かれていくけど、入社して何年かたつとある程度自分で信念を持って仕事をしてきているから、そのタイミングで部署が変わったことで、え、こんなことしていいんですか? って疑問を持つ。物語が大きく動く年齢なのかなと思います。

平太はまだまだ若くて、未熟なところがあるキャラクターです。このドラマは、彼が酸いも甘いも黒も白も知ってどんなところに行き着くのかを描く、成長物語でもあって。平太は希望を持って建設会社に入った人物なのですが、その希望だけが前のめりになっているんですよね。部署異動してからは、自分の思いだけじゃ通用しない世界を知っていく。彼なりの純粋な正義感がどうなっていくのか、そこも見ていただければ、と思っています」

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中堅建設会社「池松組」入社4年目の若手社員・富島平太を演じる神木隆之介さん。ある日突然、畑違いの「業務部」へ異動を命じられるが、そこは「談合部」とも揶揄される部署で……。

原作はこれまでも映像化された作品が人気を呼んできた、池井戸潤の同名ベストセラー。大きな企業を舞台にしながら、物語を動かすために存在する“役割”のようなキャラクターがいないことが、池井戸ワールドの魅力だと語ります。

「池井戸作品はひとりの視聴者としても楽しんできましたし、周りの方たちからも『鉄の骨』、すごく面白い小説だから期待しているよ、と声をかけてもらいました。池井戸作品では職業や世代は違っても、必ず“人対人”の気持ちが描かれていますよね。それぞれに人生があるからこそ、この発言や行動、展開になっているんだなと思えるというか。登場する人物が、生きているキャラクターばかりだと思います。今回の脚本を読んだときもそう感じました」

 


後輩にダメ出しをする時は、モチベーションを下げない言い方で


神木さんのキャリアは、実に20年以上。それでも新しい作品と出会う度に必ず発見に恵まれることが、俳優という仕事の楽しさだと言います。

「上司に直接叩き込まれることとか、威圧されるお芝居ってあまり今までに経験していないので新鮮でしたね。大きな組織に所属していても、頭を下げる必要がある時は下げるんだな、って。ペコペコするお芝居は慣れています(笑)。僕にとっての理想の上司は、ずっと背中を見てきた事務所のマネジメントの方で、今は役員になられています。人との接し方や場の作り方が完璧で、舞台挨拶での立ち居振る舞いなどもアドバイスをもらってきました。ダメ出しをするときも、“もっとこうしたらよくなるよ”というふうに伝えてくれるから、モチベーションが下がらない。僕も後輩に接するときには、人の気持ちが分かる人間でありたいと思っています」

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「あと今回のドラマをきっかけに、建築物への興味も湧いたんですよ。これまではすごいデザインだなと思うようなことはあっても、どんな経緯で誰がどのようにして建てたんだろう? ってことまでは考えたことがなかったんです。でも今は工事の裏側にあった希望や犠牲、施主の方の思いについて想像するようになりました。どんな建物にも、いろんな人の思いが込められているんだろうな、って」

 
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