高級ブランドの冬物のコート……を、入れてもらった紙袋。これが私の捨てられないものです。
冬物のコートはかさがありますから、それを入れてもらった紙袋は巨大なものになります。しかも高級ブランドのものなので、それだけで自立するほどしっかりとした作りです。
え?それを何に使うのかって?……だって、好きなんです!
そんな他人からしたらゴミ認定されても仕方のないもので、部屋が片づかないことってありますよね。しかし、整理収納アドバイザーの米田まりなさんは、「捨てた量ではなく、“残したモノの質の高まり”をゴールにしましょう」と言います。
そこで、モノを愛する人の「捨てない片づけ」の極意を米田さんに学びます。

 

家の中を見渡して、いくつかお気に入りのモノを手に取ってみてください。 
どんなことを考えましたか? 
そのモノについて、どんなことを語れますか? 

 


私たちがモノを所有するのは「使うから」「愛しているから」 
 

「代替可能性」という、モノへの愛を測るうえで、わかりやすい指標があります。
たとえばあなたが、ひとつのハサミを気に入っているとします。 
「もしこのハサミが、機能的には同レベルの商品と取り替えられても、何も心がざわつかないかどうか」想像してみましょう。
ハサミを気に入っている理由が、「切れ味」「軽さ」であるならば、同じスペックの別のハサミと交換されても、とくになんとも思わないでしょう。
一方で、ハサミのデザインや、プレゼントしてくれた人の顔など、これまで使ってきた思い出が詰まっている場合には、たとえ新しいハサミがもらえるとしても、いまのハサミを取りあげられたら悲しい気持ちになるはずです。 

モノを所有する理由は、さまざまあります。自分のためだけのモノ、人をもてなすためのモノ、誰かを応援するためのモノ……。あるいは、なんとなくだったり、捨てるのが面倒だったり。 
家にあるその「モノ」が目に触れるだけで、心があたたかく、幸せな気持ちになるのなら、それは、正真正銘、そのモノへの愛がある証です。 
人生の優先順位として、「モノへの愛を貫くこと」が、「ゆとりある部屋づくり」よりも大切だと感じる方にとっては、「思い出は2箱分まで」「棚に入る分までしか買わない」などといったルールをつくっても、モチベーションがまったくわいてこないでしょう。

「そんなに我慢させられるなら、別に部屋が狭くてもいい」と開き直りたくなるはずです。だからこそ、一般的な片づけの方法ではうまくいかないし、チャレンジする気力もあまり起きないのです。 
そんなモノを愛する人に伝えたい、一般的な片づけ方法とは異なる、「捨てない片づけ」 における4つの基本をお伝えします。