筆者は自宅とは別に自分のオフィスを構えていますが、コロナ後はオフィスには行かず、可能な限り自宅で仕事をしている状態です。もともとリビングの一画に机が2つ置いてあり、妻もそこで仕事をしていますが、個人的にはまったく問題ありません。ただ、人によっては家族がすぐ近くで仕事をしていると集中できないというケースもありますから、どうしても個室が欲しいという話も理解できます。
会社の方向性としてテレワークが推奨されていて、かつ自宅の環境が著しく悪く、今のところ住宅を購入する予定がないという人は、郊外への住み替えを検討してもよいかもしれません。しかし不動産を購入するという場合には、慎重になった方がよいと筆者は考えます。その理由は、人口動態の急激な変化によって郊外の不動産価格が今後、急落する可能性が高いからです。
今回のコロナ危機をきっかけにオフィスの分散化が進み、都心部への一極集中が緩和される可能性はそれなりに高いと考えられます。しかしながら日本は未曾有の人口減少時代を迎えており、今後は人の数が急激に減ってきます。人口が減ると、都市部への人口集約が同時に発生するのは自明の理ですから、大きな流れとしては都市部に人が集まってくることになります(人の数が減ると需要も減るので、近い地域で多数のお客さんを集めないとビジネスが成立しにくくなるというのがその理由です。IT化で移動が減るとはいえ、ウーバーイーツが配達できる範囲は限られます)。
仮にテレワークが普及した場合でも、都市部から遠く、しかも最寄り駅から離れている戸建て物件の価値は下がる一方となるでしょう。フリーランスで、100%テレワークが可能な仕事に就いている人や、ある程度の資産を保有しており、自宅不動産の価値低下を気にする必要がない人は別ですが、そうでなければ、購入については慎重になった方がよさそうです。
これからの時代は多くの人が生涯労働を求められますから、60歳以降になっても仕事を続けるのが大前提となります。高齢になって新しい仕事に就くタイミングで、どの場所に住んでいるのかはとても重要です。
いずれにせよ、コロナ危機はしばらく継続する可能性が高く、本当の意味で企業社会が変化するのは数年後のことになるでしょう。仮に住み替えを行うにしても、コロナ後の社会についてある程度、見通せるようになってからでも遅くはありません。
前回記事「原油価格マイナスの異常事態から見えた“コロナ後の世界”」はこちら>>
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